香港STYLE Vol.70 ドラマチックはさりげなく (2019.05.05)

香港スタイル生活

香港からこんにちは

イースター (キリスト教復活祭) の休暇も終わり、また通常の毎日に戻った香港。

香港経済の心臓部 Central (中環) にある The Landmark (置地廣場) のアトリウムが、イースターをお祝いする春らしいフラワーアレンジメントから突如、ターミネーター のような近未来に早変わりしていました。(今シーズンのディオール・オムです)

シュワちゃんにしてはちょっと妖艶ポーズな『I’ll be back』

 

さて、香港に住む人は必ずお世話になる香港の地下鉄、通称MTR (Mass Transit Railway / 港鐵)。

1日の利用客数が500万人近くの、香港最大の鉄道路線システムです。

2〜3分おきにどんどん来るMTRに遅れが出ることはまずなく、あまり知られていませんが、サービスの良さは日本の鉄道網以上。 余計なことはしない代わりに、とにかく駅も車両も路線もシステムも、シンプルで使いやすい。

正確、速い、分かりやすい、という、乗り物で一番大事な3拍子が揃った香港市民の足なのです。

ロンドンの地下鉄、通称『TUBE』にも路線の作り方が似ているのは、イギリスが宗主国だった名残り。 初めてでもどんな国の人でも分かりやすく、使いやすいように設計されているのは、さすがです。 

 

そんなMTRに乗ると、駅構内や車内で時に、これぞ香港!的な、表現の激しさが際立つ、直球かつドラマチックかつ優しさのかけらもない、ブラックでちょっぴり笑える広告に出会ったりします。

日本ではまずお目にかかれないだけでなく、きっと発想にすらもない、そんなものを今回はご紹介

 

例えば、こんな。。。

あっ危ないっ!

エスカレーターの下り、ショッピングバッグと、まさかの人間が、バランスを崩して転げ落ちて行く先には一人のおじさまが。。。

 

これ実は、香港の地下鉄MTR が利用者へ、『エスカレーターに乗る時は、手すりを持ちましょう』という注意喚起のポスターなのですが、どうでしょう、それだけのことなのに、なんともドラマチックでリアルなことこの上ない、この描写 

 

真に迫ったおじさまの恐怖の表情といい、トマトや玉ねぎ、ガーリックまでがふっ飛び、落ちる方は落ちる方で、手だけで焦りを表現。 見る方の想像に任せて、さらに恐怖心を煽るこの描写。。。

シェイクスピア俳優も顔負けの、劇場型メッセージ。 ってこれ、絵なのですが

この後2人がどうなったかは、ご想像にお任せします、という、ブラック感満載さ😈

 

日本でならきっと、エスカレーターの手すりを持って素直に立つ、可愛い絵柄のキャラクターか何かで優し〜く表現するに違いない『エスカレーターでは手すりを持って』メッセージ。

香港では、このホラーの形相と共に、はいどうぞ

または、これ。

『お酒を飲みすぎて気分が悪い場合は、エスカレーターではなく、リフト (エレベーター) を利用しましょう』のメッセージ。

酔い潰れて床に座り込むお兄ちゃんが、妙にリアルだ。

でもこのお兄ちゃん、エレベーターを使っても、結局エレベーター内でこんな状態になってるに違いないから、そもそも論で注意喚起はそこじゃないような。。。  まいっか

 

そして、香港MTR同シリーズの、極め付けはこちら。

『大きな荷物や子供の乗ったバギーを持って地下鉄構内を利用する際は、エスカレーターではなくリフト (エレベーター) を使いましょうね』という親切なメッセージのはずが。。。

誰も絶対この先を想像したくない、ほら、こうなりたくないでしょ的、完全に脅しに入ってるホラーメッセージ

 

とまぁ、『ここは香港 急ぐ気持ちはよく分かる。無茶しちゃあかんよ 気をつけて』のドラマチックなリマインダーがさりげなく、MTR駅構内のあちこちにあるわけなのです

 

そして、『MTR ザ・気をつけてシリーズ』とはまた別、MTR車両内で目にして思わずギョッとした極め付けが、こちらの2点。

たかだか虫除けスプレーに、バイオハザードマークを使って脅す、超ブラックなハイセンス☣️ 最高です。

 

そして、、、

駆除を意味する漢字『驅』を文字って、なんかリアルさ10倍増しになっているではないか。。。

虫恐怖症の恐怖心を煽るような、広告としては、もう完璧な仕上がり

 

という、やっぱり何をするにも、いちいちさりげなくドラマチックな香港なのでした!

JUN

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