香港STYLE Vol.86 その裏にあるもの (2019.09.30)

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香港からこんにちは

国慶節 (今年は中華人民共和國成立70周年) を明日に控え、香港市民にとって複雑な思いが交錯する、まだまだ暑い9月の最終日。 

 

今回は、今まで敢えて話題を避けてきた香港情勢について、住んでいる者ならではではの見解を少し。。。

例年であれば、国慶節当日は Hong Kong Convention and Exhibition Centre (香港會議展覽中心) での記念式典に始まり、夜のヴィクトリア湾では約32,000発の花火が盛大に打ち上げられるなど、祝日色の一日になるのですが、今年はそれらは全てキャンセル。 

6月から活発化した『逃亡犯条例』改正案に端を発した香港市民の抗議活動が、9月になっても一向に収まる気配を見せないどころか、いつからか抗議デモの過激な一部が破壊行為の暴徒集団となり、さらにそれを武装警察が暴力的に鎮圧、警察とグルと言われる半グレ集団が無防備な市民に襲いかかり、、、もうそんな、吐き気のするような収拾のつかない状態を毎週末繰り返しながら、状況はますますエスカレート。 

一触即発の状況が続く中で、混乱を避けるために全てキャンセルになったようです。 香港行政長官一人で北京での記念式典に出席。

当然ですが、多くの情報が交錯する中、香港政府や警察への市民の信頼は完全に失墜。 

香港の外から見ると、体制に抗議する側、つまり“闘う“香港民主派にスポットライトが当たり、視覚的インパクトの強い過激デモ隊と警察の衝突映像が報道されたりと、たとえそれが一部の市民であるとは頭で理解していても、香港全体が体制に断固抗議しているかのような印象になるかもしれません。 

しかし忘れてならないのが、初期の頃から一連の動きを、懐疑的に見ていた生粋の香港市民も、少なからずいるという事実。 

中国にとって香港は、腐っても鯛。 インフラや法制度でも国際標準として広く認知されアジア経済を牽引する香港は、中国経済にとってはやはり不可欠な存在なんです。 それは、英領植民地として積み重ねてきた時間と歴史があってのこと。 そうすぐに、深圳や他の大湾区都市で代替できるようなものではありません。  

その価値と旨味を充分理解していたからこそ、返還交渉時に中国は、英国のあらゆる申し出に対し強硬姿勢で臨み、軍事行使さえチラつかせ、あくまでも完全主権を取り戻す『返還』にこだわったのですね。

それが『一国二制度』という、なんとも機転の利いた狡猾な落としどころとなったわけですが、50年先、100年先を見据えてのスケールで国政を行うのが常の中国、そんな民主主義的な制度を共産主義下で50年間も真摯に遂行するつもりは、最初から毛頭なかったでしょう。

何としてでも香港を取り返したかった中国共産党の企みの一つが、この『逃亡犯条例』改正案にも結びついているのは、実はあまり知られていません。 

ところで一方の英国は英国で、世界中の英植民地撤退時が全て例外なくそうであるように、撤退間際になって畳みかけるように現地の民主議会制を実行、インフラ、社会、教育制度を整え、民主主義の思想、価値観を植え付け、後に問題となり得る種を必ず現地に残して (撤退後も、旧植民国への英国による政治的、経済的な影響が継続可能な余地を残して) 撤退する、という。。。

もう本当に、どっちもどっち。

ちなみに、今回、香港問題当事者の一方であるはずの英国は、これだけ声を上げている香港への援助や、契約上の相手である中国への政治的交渉はしないのか?という至極当然の疑問が湧くと思いますが、彼らは外交の建前上、当たり障りのないコメントをすることはあっても、実際行動を起こすことは、これからもないでしょう。

BREXITで今それどころではない、、、というのでは全然ありません。 実際、ホルムズ海峡で起きた石油タンカー拿捕の件然り、中東の石油利権絡みとなると、どんなに突発的でもどんなに内政が多忙でも、最優先事項のBREXITを横に置いてでも、目を輝かせてしゃしゃり出て行くという。。。 英国は石油がお好き 

 

さらに、英国には既に中国による投資がわんさと入っており、がんじがらめ。 この後に及んで中国に物申すなどは、例えしたくても出来ないでしょう。

最近の中英大口買収といえば親中派の香港大富豪、李嘉誠氏のCKアセットホールディングスによる英企業グリーンキングの買収。 その額なんと3,500億円という超破格。

最前線を引退したとはいえ、90歳を超えてもまだまだ冴えている李氏の、時勢の読みと周到な準備と行動の早さは尊敬に値しますし、本当に凄すぎます。 英国市場が底を突いた、まさにその瞬間でしたもの。

ということで、英国は全く頼りにならず

話を戻しますが、そもそも、香港政府が推し進めようとしていたこの『逃亡犯条例』改正案は、香港が持つもう一つの顔、中国のマネーロンダリング地としての経路を、中国政府が取り締まるというのが実のところだったといいます。

中国本土では、ある一定以上の事業は、共産党との強いパイプなしには実現し得ないこと、そしてその富裕資産保有者の多くは党幹部本人やその一族郎党ということになりますので、結局はこの条例改正案の推進も、国家主席を頂点とした中国政府内権力の集中、維持のための闘争の一環だってのですね。

中国共産党にとって最も大事なのは、富国強兵のもとに一党独裁の維持、それに尽きるのでしょう。

全ての物事の裏にはビジネスがある。 この件も決して例外ではないのでしょう。

、、、という、秋の風にはまだちょっと遠そうな香港の夏の夜長。 窓の外に広がる闇夜に包まれた静かな海を見ながら、この海のように穏やかな日々が早く訪れることを願わずにはいられません。

ロンドンでクリスティーズの大親友エリーに連れられて出会った、唯一無二のダイヤモンドの続きはまた次回に。 

 

JUN

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