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香港STYLE Vol.48 オークションとアートトーク (2018.12.1)

香港からこんにちは

 

スイスで行われたクリスティーズ・ヨーロッパのジュネーヴ・オークションに続いて、Christie’s Hong Kong (佳士得 香港) オークションが行われました。

 

11月23日〜28日、場所は香港島の Wan Chai (灣仔) 地区にある Hong Kong Convention and Exhibition Centre (香港會議展覽中心) です。

毎年香港オークションの会場となる、通称コンヴェンション・センターは、国際商業展示会や国際会議、大きなセミナー、香港政府の行事やセレモニーなどにも使われる複合施設。 1997年、香港の中国返還式典もこちらで行われました。

 

オークションは、ジュエリー、宝石、時計、中国の古典美術や工芸品、陶器、日本美術、西洋美術、現代アート、ワイン、それに香港ならでは、Hermès のハンドバッグ (プレシャススキン素材や世界で一つしかないオーダーものデザインなど、希少価値の高いもの限定) など、各分野ごとに細かいスケジュールが組まれます。

 

また期間中に、クリスティーズがオークション出品物に関連する専門家達を世界中から招待し、セミナーやパネルディスカッション形式のアートトークを毎回いくつか行うのですが、 これがまた、実に大変に面白いのです。

 

これらはオークションの合間に行われるのですが、どこどこ大学何ちゃら教授の、机上の独断美術史講義なんかを聞くより、2000倍面白い!

なぜって?   それは簡単。

 

ずばり! 

 

このアートが、お金と連動しているから。 

 

美術品オークションは、れっきとしたビジネス。出品物に関わってきた人、時間、歴史、全てひっくるめて値段が付けられ、取り引きされ、投資の対象にもなるのです。

 

現在進行形の美術品市場を、多角的に知り尽くしたクリスティーズのスペシャリスト達が、さらにその道のザ専門家から、時にユーモアたっぷりに引き出す話は、現実的で実用的で刺激的。

目の前のたった一枚の、百何十億という夢のような絵画から、西洋史と東洋史の点と点が繋がり、思わずポンっと膝を叩きたくなるような瞬間にも出会うのです。 

そんな爽快さこそも、美術品オークションビジネスの醍醐味なのかもしれませんね。 

 

 

芸術も科学も医学も、人間がやることにさほど違いはないと思っています。 

どんなに崇高ぶっていても、偉そうなことを言っても、お金が直結するから真理が見える。

そんなクールで当たり前のことを気づかせてくれるのが、オークションのおもしろさなのです。 

 

こちらは、24日に行われたヴァン・ゴッホの絵と生涯についてのパネル・ディスカッション。

左から順に、このディスカッションの司会、クリスティーズ・アジア取締役 Elaine Kwok 氏 、ヴァン・ゴッホ美術館館長 Axel Ruger 氏、クリスティーズ・グローバル会長 Jussi Pylkkanen 氏と、もう一人、ヴァン・ゴッホ美術館主任研究員 Teio Meendendorp 氏の4人で、大変興味深い話を聞くことができました。 

ヴァン・ゴッホは実は画家ではなかった?!件、日本文化の持つ繊細美への憧れが強過ぎて、それを求めて南フランスへ移住した?! (けれども全然違った件。。。

 

さて今回、香港オークションのスターセールは、中国古典美術の最高峰、Su Shi (蘇軾/1037〜1101) による 「Wood and Rock」(木石圜)。

 

落札価格 HK$463,600,000 (約67億2千万円) なり。 

 

Su Shi は中国北宋代の政治家であり、詩人、作家、書家、画家といういくつもの顔を持った、中国のレオナルド・ダ・ヴィンチとも呼ばれる人物です。

 

また、ジュエリー部門では、21石のカシミール・サファイアと、23石のダイヤモンド、合計109.98キャラットのネックレス「The Peacock Necklace」が注目されていまた。

 

カシミール・サファイアそのものが大変希少なうえ、21石の色をここまで揃えることのできたネックレスは奇跡に近く、こういった色揃えだけでも100年はかかるでしょう。

 

 

滑らかなヴェルヴェットの手触りを思わせるような深いブルーの輝きに、ふわっとシルクをかけたような、なんとも言えない独特の色とオーラを持つカシミール・サファイア。

見惚れるほシンプルで、見惚れるほど美しく、見惚れるほど知的な「The Peacock Necklace」。

 

落札価格は,、HK$116,537,500 (約16億9千万円) 。

カシミール・サファイアとしてはオークション史上、再び世界最高額を記録しました。

 

 

優れたアートや素晴らしい宝石は、限られたごく一部の才能や、自然が織りなす奇跡の積み重ねによって作られるもの。けれども、それらの作品は私達万人に開かれています。

 

オークションハウスを通じて受け取るもの、それは精神的な富の蓄積であり、もしかしたら、一生をかけて手に入れていく真の豊かさなのかもしれませんね。

 

JUN

 

香港STYLE Vol.47 オークションで出会うストーリー (2018.11.24)

香港からこんにちは

 

先日スイスのジュネーヴで行われた、Christie’s のジュエリー・オークション Magnificent Jewels。

世界中の顧客から集められた300点以上の壮麗な宝飾品やジュエリーが競売にかけられ、アートとビジネスが融合した、エキサイティングな一夜となりました。

 

その夜のスターセールの一つが、18.96ctの大粒ファンシー・ヴィヴィッド・ピンクダイヤモンド The Winston Pink Legacy 。 

キャラット単位 260万ドル (約3億円) という、ピンクダイヤモンドについた per carrat 価格としては世界最高額を記録し、オークション会場が大きな賞賛の拍手に包まれました。

 

 

 

ジュエリーオークションの中で最も格の高いMagnificent Jewels 。 競売にかけられる作品はすべて、世界的に希少価値のあるものばかりです。

国宝にも匹敵するほどのミュージアムクラス・ピースが、次々と入札され落札されていくのがジュエリーオークション。

 

オークションには、「オークション・カタログ」という、出品される作品全てを紹介した分厚い本が、オークションの数ヶ月前に必ず発行されます。

カタログには、ロット番号順に出品作品の写真、詳細と説明、そして落札予想価格が記載されます。 

 

 

どうかすると、その辺の美術書などより、よほど詳しく分かりやすく書かれている、と私は思っているオークション・カタログ。  

なにせ、オークションハウスを支える各分野の「スペシャリスト」と呼ばれる、超マニアックなオタク集団、、、いや (笑)、専門家集団が作るカタログです。

オークションハウスの「スペシャリスト」。 美術市場でこれほど頼りになる人達はいないと私は思っていますし、はっきり言って、気難しいどこかの西洋美術史の教授が書いた、使えないウンチクだらけの美術書などより、よっぽど読んで楽しく見て楽しく為になる、、と個人的に本気で思っているのが、オークション・カタログです。

 

そしてなにより、カタログに載る100年200年、もによっては数百年という歴史を持つ国宝級の出品作品が、美術館に鎮座し有り難がられることなどなく、時代を超えて人の手から手へ、市場を介し世俗にまみれ流通してきたという、なんともダイナミックな事実。

そしてこれからも所有者を変えて市場へ流通し、歴史を刻みながら生き続けるであろうという事実が、作品にある種の現役感と生命感を与え、それが見る者を魅了するのかもしれません。

 

さて、オークション・カタログに必ず明記してあるのが、落札予想価格。

入札者が入札価格の目安とできるように、オークションハウスのスペシャリスト達が付けるもので、入札スタートは通常、予想落札価格の最低ラインから始まります。

 

実はこの落札予想価格、1970年代まではオークション・カタログには一切載っていませんでした。 

どういうことかと言うと、つまり、作品の価値を自分で判断できない人間はオークションの参加資格なし、ということ。

オークション発祥があのお国と聞けば、妙に納得 (?!) のちょっぴり高飛車な、、、いや、高貴なお話、、、でしょうか。笑

しかし、それではマーケットが広がらないから、カタログに価格を載せてはどうかという提案が、当時出たそうです。

が、またそこからが大変。  価格を明記するなどとは美術作品への冒涜である、との大議論に発展! 

結局、ロット番号の横に価格を記したリストを作成し、カタログに折り込みで入れるという方法で決着。 その後も少しずつ改良を重ねながら、現在のスタイルでのオークション・カタログが出来上がったのです。

 

 

それでも、真のコレクターは必ず、現物を見てから入札を決めます。  

ジュエリーや美術品は大きな買い物であり、そのために、オークションハイライトの作品を、コレクターが多くいる都市に回し、プレビューを開くのです。

プレビューでは、どこそこのジュエリーアートディーラーが Van Cleef & Arpels 1924年製のロングネックレスを熱心に見ていたとか、ある有名コレクターが、ガラスケースから出してもらった JAR のブローチの裏側を、ルーペで丹念に見ていたとか、そういった話からスペシャリスト達内で落札価格が予想されることもあるそうです。

 

 

 

 

オークション・プレビューで出会う様々なストーリーを持つ宝石たち。

それらは現在進行形の生きたアートであり、そこで手に取ったジュエリーが、私に多くのことを語りかけ、精神的な富とは何かを実感させてくれるのような気がするのです。

 

JUN

 

香港STYLE VOL.46 The Winston Pink Legacy (2018.11.17)

香港からこんにちは

 

11月13日、スイスのジュネーヴで、世界2大美術品オークション会社の一つ Christie’s (クリスティーズ) によるラグジュアリーオークション、Magnificent Jewels (マグニフィセント ジュエルズ) が行われました。

 

各部門トップエンドを集めた格の高いオークションは必ずイブニングセールとなり、Magnificent Jewels は、ニューヨーク、香港、ロンドン、ジュネーヴの各都市で、毎年5月と11月に行われます。

オークションでは、毎回多くのドラマが生まれますが、今回も期待を裏切らない エキサイティングなものになりました。

 

18.96キャラットという稀に見る大粒の、ファンシーヴィヴィッド・ピンクダイヤモンドリング「The Pink Legacy」が、予想落札価格 $30〜50million (約34〜57億円) で出品されたのです。

 

この「The Pink Legacy」の出品者については、クリスティーズは徹底した守秘により、今回もプライベートオーナーとしただけで身元は一切公表していません。  

分かっていることは、ロンドンに本社を置くダイヤモンド鉱山、流通、加工、卸売会社「The De Beers 」(デビアス) グループを経営する Oppenheimer (オッペンハイマー) 家が、かつて所有していたことがある、ということだけ。

 

希少なカラーダイヤモンドの中でも、極めて鮮やかな色合いを持つもののみに鑑定される「Fancy Vivid」というカテゴリーのカラーダイヤモンド。 それは、色付きダイヤモンド約10万個に一つとも言われています。 

 

さらに、希少なピンクダイヤモンドで10キャラットを超えるものは極めて稀で、「The Pink Legacy」のような19キャラット近いファンシーヴィヴィッド・ピンクダイヤモンドという宝物の様な出品は、長いオークションの歴史でも過去に例がありません。

 

通常、目視では見えない極々小さな不純物や曇り、僅かに別のカラーが混ざっていることが多いダイヤモンドにおいて、不純物を一切含まず、ここまで高い純度と鮮度と透明度を持つ「The Pink Legacy」。

それは、この石が数億年前に地球内部で生み出された時、通常のダイヤモンドが作られる以上の高温度と高圧力が、瞬間的にであれかかったという奇跡の証明なのです。

 

また、ため息が出るほど完璧で美しい、クラッシックなカット。

 

カラーダイヤモンドにおいても、ファセット数を多くすることで、より石の輝きを引き出すよう研磨されることが多いのですが、「The Pink Legacy」は、石そのものが持つ化学的にも驚くべき純度と透明度の高さを生かしクラッシックなカットが採用されています。 それがまた、この石の奥深い色合いと相まって、洗練と品格となっているのですね。

 

全てが緻密に計算された最高レベルの研磨を施す、ダイヤモンドの研磨職人。 私は、この人達以上に畏敬の念を抱く人達はいないかもしれません。

「The Pink Legacy」は、人類、そして地球の「資産」と言っても、決して大げさではないと思うのです。

 

今回のような大きなオークションの前に必ず行われるオークションプレビュー。 ニューヨーク、香港、ロンドン、ジュネーヴという各都市で「The Pink Legacy」は、熱心なコレクターや専門家達を多いに魅了しました。

今回の Magnificent Jewels オークション会場は、レマン湖のほとりに建つ1834年築の由緒あるホテル、Four Seasons Hotel des Bergues Geneva (フォーシーズンズ オテル デ ベルグ ジュネーヴ)。

300点以上の希少なデザインジュエリー、ダイヤモンド、宝石、パールなどが出品され、「The Pink Legacy」以外にも、資産価値の高いジュエリーが数多く多く出品されました。

 

いよいよ、オークションも終盤。

Lot 311「The Pink Legacy」

 

「Lot number three hundred and eleven. Ladies and gentlemen, The Pink Legacy Diamond.  At 24 million francs… 」

 

この夜のオークショニア、クリスティーズ国際事業責任者 ラウル・カダキア氏が、落ち着いた口調で滑らかにロット番号311の競売をスタートしました。 オークションの歴史に残る「The Pink Legacy」です。

 

CHF 24million (約27億円) から始まった入札は、あっという間に予想落札価格の30億円台に入り順調に上がり続け、競売開始からわずか5分。。。

会場にハンマーの音が響き渡り、大きな拍手に包まれました。

 

落札価格、CHF 50,375,000 (約57億円)。

キャラット単位 CHF 2,656,909 (約3億円) という、ピンクダイヤモンドについたものとしては、世界最高額での落札となりました。 

 

 

落札したのは、アメリカ高級宝飾ブランド Harry Winston (ハリー・ウィンストン)。

これはクリスティーズではなく、ハリー・ウィンストン社が公表したもので、The Pink Legacy の名称はすぐさま「The Winston Pink Legacy」(ウィンストン・ピンク・レガシー) と改められ、新しい所有者に渡ったのです。

 

間違いなく、世界最高級のダイヤモンド「The Winston Pink Legacy」。

 

地球の資産とも言える「The Winston Pink Legacy」は、時代を超えて、見る者手に取る者を幸せにし、地球の奇跡が生み出した完璧な純度を持つ石の中に、人類の歴史を携えながら、これからさらにその価値は上がっていくことでしょう。

 

JUN

 

香港STYLE Vol.43 ポジティブファッションが世界を変える⓶ タイムレスな赤 (2018.10.27)

香港からこんにちは

 

 

タイムレス。

もしかしたら、この言葉ほど香港の一般的なイメージとは違うものもないかもしれません。 また、この言葉ほどイギリスのイメージを表現するのにぴったりな言葉もないでしょう。

長い年月をかけ歴史や文化、芸術を育んできたイギリス。 数百年前と同じ方法で調理された同じ味付けの食事をし、500年前に建てられた同じ校舎で学ぶ、当時から変わらない理念の学校教育。 数百年間同じ景色も田舎のランドスケープに、彼らの悠久な時間の流れ。

変わることが宿命のような香港。 変わることをよしとし、むしろ変わらないと生きていけない街かもしれません。

どんな小さな隙間でも、ビジネスチャンスを見つけては果敢に飛びつき、利益なしと見込めばあっさり転業。 見通しが悪ければ、新しい道を見つけて進むまで。

次から次へと方向転換をし、その機動力がさらなる変化を呼び込む香港は、その摩擦熱でさえ彼らのパワーであり原動力なのです。

 

 

アジアにありながら相反するものが存在する、混沌と整然の香港で、好んで使われるタイムレスな色、それは赤かもしれません。

 

何につけてもダイナミックなこの街で、赤色の持つエネルギーは、そんじょそこらの甘えを受け入れない強さと潔さをもって好まれます。

 

 

今でも忘れられないのが、高級ショッピングモールですれ違ったご年配女性。

杖をついてゆっくり歩く彼女の足元は、ハイヒールではなく履きやすそうな少しだけ高さのあるシンプルな靴でしたが、お化粧をし髪の毛は綺麗にセットされ、形の整えられた指先の爪に赤いマニキュア。

杖をつく指先でさえ、赤で彩る気概。 足元がおぼつかずとも、指先を赤にする意志。

ただすれ違っただけの彼女の人生は、私には知る由もありませんが、そんなカッコよくもドラマチックに年齢を重ねたいとその時思ったものです。

指には大粒のダイヤモンドリングが輝き、彼女の内面からにじみ出る、意志の強さと赤とダイヤモンドという3者の共演は、お互いに異なものが共存し高め合う、香港という街そのもののようでした。

 

人生の甘辛をポジティブに受け入れ謳歌するのにぴったりな赤。

 

 

ポジティブであり潔く、成熟した人にこそ似合う、タイムレスな色。  

 

人によって街によってタイムレスの意味合いは変わるのかもしれませんが、赤が香港にとって特別な色なのはタイムレスなのかもしれませんね

 

JUN

 

香港STYLE Vol.42 ポジティブファッションが世界を変える⓵ アジアンミューズ (2018.10.20)

香港からこんにちは

 

 

 

「美しい人」と聞いた時、皆様はどのような女性を思い浮かべますか?

スラリと高い身長に、長い手脚と無駄のないプロポーション。 形の整ったアーモンドアイに綺麗なカールの長い睫毛。 バランスの取れた形のいい額に、まっすぐに通った鼻筋。 スッとした顎のラインに、高い頬骨が映える魅力的な横顔。。。などでしょうか

 

生まれながらに、または美容整形などにより、こんな完璧な容姿美を持つ女性もいるでしょう。

特に国全体で美容整形が盛んな社会では、多様な価値観の認識に未熟なことが多く、一方向に向かうワンパターン容姿美や外見的な美しさにばかりにフォーカスがいってしまい、結果としていつまでも人々の幸福度が満たされない、、という場合もあるでしょう。

 

私は、これまでロンドン、東京、香港と住み、ふと気がつけば人生の半分以上の歳月を、日本以外の国々で過ごしてきました。 

元来の、楽天的過ぎるのがたまに傷 (?) の外向的な性格も手伝ってか、その土地その土地で、現地に住む世代も国籍も違う様々な女性達と知り合い、仲良くなってきました。

そんな中、いつも私がその圧倒的な美しさで惹きつけられ、その時々でいろいろな気付きをくれ、人生の指標にいい影響を与えてくれたのは、なぜか必ずといっていいほど香港人の友人マダム達でした。 

 

 

彼女達の「圧倒的な美しさ」とは、先の「完璧な外見の容姿美」でも「ワンパターンの表面美」などでもなく、多種多様で個性的で揺るぎない、知性美、品格美、成熟美でした。

それは、彼女達の生き様から醸し出されるオーラだったのだと、今ではよく分かります。

 

香港人マダム達の、真っ直ぐに人の目を見る、凛とした緊張感。 考えをはっきりと表現する論理的な思考。 堂々とした姿勢の良さと、所作の美しさ。

 

どんなことにも動じず、余裕の微笑みを持てる大人の落ち着きぶり。 物事の本質を見る、鋭い知性と感性。 

家族や親友の為なら、躊躇なく大きな一歩を踏み出す、潔い決断力と温かいハート。 でもちゃーんと、自分にも利が廻り周るよう考えて行動しちゃう、とってもポジティブでお茶目な計算高さ

 

年齢不詳の女神達。

 

それが私が世界中で出会ってきた、香港人マダム達に共通する美しさなのです。

彼女達のボーダレスな姿は、いつ見てもブレがなく美しくタフ。

それでいてあらゆる変化を楽しみ、周りを幸せにし、自らも幸せなり、ぶっつけ本番の人生を生きることほど楽しいことはないと、その美しいオーラで教えてくれる、香港の女神達。

 

「人生も愛する家族もジュエリーも一緒。 本物だからこそ、面白くなくては。」

 

香港人マダム達が世界中で私に見せてくれた、グローバルをも超えたアジアンビューティ。

 

それは、形の美しさを見せるだけ、分別がありすぎるだけ、上品すぎるだけのおとなしい美ではなく、素直な自己表現と美しい自己主張、躊躇のないタフネスを兼ね備えた、香港流エレガンスだったのかもしれません

JUN

 

香港STYLE Vol.40 オークションプレビューで出会う香港 (2018.10.06)

香港からこんにちは

 

10月に入り、爽やかな秋の晴天が続く香港

摩天楼の上層階が、時にすっぽり霧に覆われてしまうほどの高い湿度は、これから数ヶ月間はちょっとお休みです

先日の国慶節の祝日にヴィクトリア湾で打ち上げられた花火も、秋の夜空に降り注ぐ宝石の雫のように、煌びやかで幻想的なひとときでした。

 

香港は、歴史的な経緯、地理的な有利性という運を味方に、柔軟性、敏速性などグローバル時代にマッチした類い稀な対応力によって、世界中の人と人、物と物、利益と利益を繋ぐことでビジネスを生み出し、繁栄を遂げてきた街です。

 

そんな富の集まる香港で、長い歴史を持つのが美術品オークション。

これぞまさに、人と人、物と物、そして利益と利益を繋ぐ、イギリス発祥のビジネスです。

世界の美術品競売市場の9割がこの2社で占められていると言われる、世界最高峰の国際競売会社、クリスティーズとサザビーズ。

 

9月28日〜10月4日にかけて、香港クリスティーズであるオークションプレビューが行われました。

11月13日にスイスのジュネーブで行われる「Magnificent Jewels Geneva」のハイライトと、11月27日の香港で行われる「Magnificent Jewels Hong Kong」のプレビューです。

 

オークションシーズンは主に、春と秋。 

クリスティーズやサザビーズで取り扱われる商品は、ジュエリー、時計、絵画、美術品、家具、カーペット、ワイン、楽器や楽譜、住宅不動産などで、小さなオークションは世界各都市で通年行われています。

それぞれの分野のトップエンド、つまり芸術的にも資産的にも価値の高いものを集めた、重要なオークションが開催されるのが、春と秋なのです。

 

それらは必ずロンドン、ジュネーブ、香港、ニューヨークで行われ、毎回各分野で入札希望者達の華麗なる攻防が繰り広げられます。 

時に落札価格が世界最高記録を更新するなど、オークションの舞台裏は絶対的な秘密厳守の世界であり、大変魅力溢れる競売の世界なのです。

 

オークションハウスが、出品者と落札者、それぞれ双方から得る手数料は、落札額の25%ずつ。

そう、あるロットがもし1億円で落札されたら、オークションハウスには、落札額の計50%に当たる5千万円が入る手はずになっているのです。 

また、落札者が実際に支払う金額は、落札額に25%を上積みして、この場合は1億2千5百万円になります。 落札者は落札から1週間以内に、全金額を支払うことになっています。

 

という、オークションの着想や運営手法は、いかにもイギリス的と言えるでしょう。 それでも世界中に社交界、王族、実業家など富が存在し、コレクターが存在する限り、オークションハウスは不滅なのです。

 

また、信用第一のオークションハウス。 いかなる理由であっても、顧客の情報を警察に開示することは一切ないそうです。  重要なオークション会場で、必ず電話担当者がいるのも、入札者の身元を知られないため。

グローバルスタンダードでは、高額な入札品ほど、それを取り巻く入札希望者達の事前情報や詳細は決して外部に漏れませんし、落札後もメディアや公に落札者の名前が明かされる、又は明かすことはまずありません。

浮かれた落札者本人が目立ちたいという成金で、自ら名乗り出れば話は別ですが。。。 去年そういう人いましたね、日本に

 

さて、そんなクリスティーズ香港での「Magnificent Jewels Geneva and Hong Kong」プレビュー。  ジュネーブオークションのハイライト、18.96キャラットのピンクダイヤモンド「The Pink Legacy」も展示されました。

地球内部の高音高圧で圧縮された証の、彩度の強いピンク。 透き通る石を最大限に生かした、美しくバランスの良いカット。 ダイヤモンドならではの、清く、強く、凛とした輝き。 

何時間でも見ていたい、そんな美しさと高潔さと魅惑の輝きを持つピンクダイヤモンド。 今週末からは、ロンドンでのプレビューに行っているはずです。

 

他にも、1912年カルティエ社製のダイヤモンド・ティアラ。

 

アール・デコのエメラルド・カボションカットのブローチ兼ペンダントや、ヴァンクリーフ&アペル社製のダイヤモンドネックレスやブレスレット。

 

カルティエ社製のコロンビア産ドロップ型エメラルドイヤリング。

 

1922年カルティエ社製アール・デコの赤珊瑚とパールとダイヤモンドのブローチなどなど。

 

遥かな時を超えて輝き続けるジュエリー。

クリスティーズで出会った品格のジュエリーは、香港というこの街が辿ってきた奇跡と繁栄とも重なる、珠玉の幸運を持っているような気が、とてもするのです

 

JUN

 

香港STYLE Vol.39 宝石が贈る記憶 (2018.09.29)

香港からこんにちは

 

中秋節が過ぎ、都心でも少しずつ秋の気配を感じるようになってきた、9月も終わりの香港

 

初夏から夏にかけては、空の真上から強く照りつけていた太陽もここにきて、ふっと力を抜いたように穏やかな陽射しに変わり、人や風景とも調和する秋色ハーモニーを作り出しているようです

世界中の人々が集まる香港には、異なる文化や価値観を受け入れる、精神的に豊かな土壌があります。 若い頃から海外で教育を受ける若者も多く、考え方も美意識もグローバル。 

斬新な発想や、良いと思ったらすぐにアイディアを取り入れるスピード感とバイタリティが人を動かし、情報を動かし、変幻自在に姿を変える香港という街を動かしていきます。

大局的な強さと知性を兼ね備えたこの街の大胆さは、そのまま人々のファッションやライフスタイル、ビジネスにも反映されています。

 

ジュエリーの世界もそう。

デザインが個性的で華やかなのはもちろん、世界的に希少価値の高いものや財産価値、投資価値のある宝石も好まれ、代々のコレクターもいるほど。

 

香港は世界の金融センターというだけでなく、アート、とりわけジュエリーの世界でも、国際的に重要な都市と位置付けられています。

例えば、ヨーロッパの大手オークションハウス、クリスティーズやサザビーズが、著名人所有のプライベートセールスや、歴史的に価値のある品ばかりなどを集めた重要なセールスをする前に、世界の主要都市を周り数日限定でオークション品を展示する「プレビュー」というのを行いますが、アジアを周る際にプレビューの中心的役割を担う都市が、香港。

アジアで大きなセールスがある場合も、オークションは香港で行われます。

 

世界最高級クラスの宝石やジュエリーが、間近で見られるオークションプレビューには、必ずそれぞれの専門家が付き、時に、彼らから出品物の興味深いストーリーなどが聞けたりもします。 

 

近いものでは、11月13日にスイスのジュネーブで行われる、クリスティーズのジュエリーオークション「Magnificent Jewells」。

オークションハイライトの一つで、かつてオッペンハイマーコレクションでもあった、世界的に希少な天然ピンクダイヤモンドのリング。 それが現在、香港クリスティーズでプレビュー中です。 (10/4まで)

 

ファンシーヴィヴィッドという、希少なピンクダイヤモンドの中でも、されに最上級クラスとなる高い彩度と濃いカラーを持ち、カットも完璧なバランス、センターストーンは18.96キャラットという、まさに至宝の極上品です。

予想落札価格は、30〜50million USドル (約36億〜56億8千万円) とのことですが、実際の落札価格はおそらく軽々とこれを超えることでしょう

 

歴史的価値が高かったり、世界的に重要なオークションが行われる場合は、アジアでは香港、アメリカではニューヨーク、ヨーロッパではジュネーブかロンドン、とほぼ決まっています。

そんな香港のオークションハウスで見ることのできる見事なジュエリーの数々は、圧倒的な存在感で私達に語りかけてきます。

 

ショウケースのその小さな空間の中に、ひっそりと佇むひとつひとつの宝石。

ですがそれらには、装飾品や芸術品としての価値と同時に、もう一つの素晴らしいストーリーがあるのをご存知ですか?

 

数億年前に生まれた壮大な地球の記憶を持つ、鉱物としての研磨される以前の宝石達は、多くの奇跡と膨大な時間、そして最終的に人間の情熱と才能と技術を経てやっと、今ここにその姿となり存在しているのです。

 

それでもきっと、私達人間が関わっているのは、その宝石の持つ記憶の中では、最も手前のほんの一瞬だけでしょう。 それだけ宝石には、遥かなる地球のエネルギーが、長い長い記憶として組み込まれているのです。

 

私達の想像を遥かに超える強い生命力を持ち、地球内部の膨大な高温高圧エネルギーが加わったことよって生まれた、石の鮮やかな色、彩度、透明度。

中の内包物でさえも、宝石の個性と言える唯一無二の美しさを帯びたそれらは、ひとつとして同じものはありません。 

そんな宝石が記憶に持つ、地球の神秘に思いを馳せる時、なんだかワクワクしませんか?

 

宝石は、今ここにジュエリーとして存在していること自体が、大変な幸運を持っている証。

なぜって、それは数億年前の地球から送られてきた、奇跡であり生命の源であり、お守りなのですから

 

JUN