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香港STYLE VOL.46 The Winston Pink Legacy (2018.11.17)

香港からこんにちは

 

11月13日、スイスのジュネーヴで、世界2大美術品オークション会社の一つ Christie’s (クリスティーズ) によるラグジュアリーオークション、Magnificent Jewels (マグニフィセント ジュエルズ) が行われました。

 

各部門トップエンドを集めた格の高いオークションは必ずイブニングセールとなり、Magnificent Jewels は、ニューヨーク、香港、ロンドン、ジュネーヴの各都市で、毎年5月と11月に行われます。

オークションでは、毎回多くのドラマが生まれますが、今回も期待を裏切らない エキサイティングなものになりました。

 

18.96キャラットという稀に見る大粒の、ファンシーヴィヴィッド・ピンクダイヤモンドリング「The Pink Legacy」が、予想落札価格 $30〜50million (約34〜57億円) で出品されたのです。

 

この「The Pink Legacy」の出品者については、クリスティーズは徹底した守秘により、今回もプライベートオーナーとしただけで身元は一切公表していません。  

分かっていることは、ロンドンに本社を置くダイヤモンド鉱山、流通、加工、卸売会社「The De Beers 」(デビアス) グループを経営する Oppenheimer (オッペンハイマー) 家が、かつて所有していたことがある、ということだけ。

 

希少なカラーダイヤモンドの中でも、極めて鮮やかな色合いを持つもののみに鑑定される「Fancy Vivid」というカテゴリーのカラーダイヤモンド。 それは、色付きダイヤモンド約10万個に一つとも言われています。 

 

さらに、希少なピンクダイヤモンドで10キャラットを超えるものは極めて稀で、「The Pink Legacy」のような19キャラット近いファンシーヴィヴィッド・ピンクダイヤモンドという宝物の様な出品は、長いオークションの歴史でも過去に例がありません。

 

通常、目視では見えない極々小さな不純物や曇り、僅かに別のカラーが混ざっていることが多いダイヤモンドにおいて、不純物を一切含まず、ここまで高い純度と鮮度と透明度を持つ「The Pink Legacy」。

それは、この石が数億年前に地球内部で生み出された時、通常のダイヤモンドが作られる以上の高温度と高圧力が、瞬間的にであれかかったという奇跡の証明なのです。

 

また、ため息が出るほど完璧で美しい、クラッシックなカット。

 

カラーダイヤモンドにおいても、ファセット数を多くすることで、より石の輝きを引き出すよう研磨されることが多いのですが、「The Pink Legacy」は、石そのものが持つ化学的にも驚くべき純度と透明度の高さを生かしクラッシックなカットが採用されています。 それがまた、この石の奥深い色合いと相まって、洗練と品格となっているのですね。

 

全てが緻密に計算された最高レベルの研磨を施す、ダイヤモンドの研磨職人。 私は、この人達以上に畏敬の念を抱く人達はいないかもしれません。

「The Pink Legacy」は、人類、そして地球の「資産」と言っても、決して大げさではないと思うのです。

 

今回のような大きなオークションの前に必ず行われるオークションプレビュー。 ニューヨーク、香港、ロンドン、ジュネーヴという各都市で「The Pink Legacy」は、熱心なコレクターや専門家達を多いに魅了しました。

今回の Magnificent Jewels オークション会場は、レマン湖のほとりに建つ1834年築の由緒あるホテル、Four Seasons Hotel des Bergues Geneva (フォーシーズンズ オテル デ ベルグ ジュネーヴ)。

300点以上の希少なデザインジュエリー、ダイヤモンド、宝石、パールなどが出品され、「The Pink Legacy」以外にも、資産価値の高いジュエリーが数多く多く出品されました。

 

いよいよ、オークションも終盤。

Lot 311「The Pink Legacy」

 

「Lot number three hundred and eleven. Ladies and gentlemen, The Pink Legacy Diamond.  At 24 million francs… 」

 

この夜のオークショニア、クリスティーズ国際事業責任者 ラウル・カダキア氏が、落ち着いた口調で滑らかにロット番号311の競売をスタートしました。 オークションの歴史に残る「The Pink Legacy」です。

 

CHF 24million (約27億円) から始まった入札は、あっという間に予想落札価格の30億円台に入り順調に上がり続け、競売開始からわずか5分。。。

会場にハンマーの音が響き渡り、大きな拍手に包まれました。

 

落札価格、CHF 50,375,000 (約57億円)。

キャラット単位 CHF 2,656,909 (約3億円) という、ピンクダイヤモンドについたものとしては、世界最高額での落札となりました。 

 

 

落札したのは、アメリカ高級宝飾ブランド Harry Winston (ハリー・ウィンストン)。

これはクリスティーズではなく、ハリー・ウィンストン社が公表したもので、The Pink Legacy の名称はすぐさま「The Winston Pink Legacy」(ウィンストン・ピンク・レガシー) と改められ、新しい所有者に渡ったのです。

 

間違いなく、世界最高級のダイヤモンド「The Winston Pink Legacy」。

 

地球の資産とも言える「The Winston Pink Legacy」は、時代を超えて、見る者手に取る者を幸せにし、地球の奇跡が生み出した完璧な純度を持つ石の中に、人類の歴史を携えながら、これからさらにその価値は上がっていくことでしょう。

 

JUN

 

香港STYLE Vol.39 宝石が贈る記憶 (2018.09.29)

香港からこんにちは

 

中秋節が過ぎ、都心でも少しずつ秋の気配を感じるようになってきた、9月も終わりの香港

 

初夏から夏にかけては、空の真上から強く照りつけていた太陽もここにきて、ふっと力を抜いたように穏やかな陽射しに変わり、人や風景とも調和する秋色ハーモニーを作り出しているようです

世界中の人々が集まる香港には、異なる文化や価値観を受け入れる、精神的に豊かな土壌があります。 若い頃から海外で教育を受ける若者も多く、考え方も美意識もグローバル。 

斬新な発想や、良いと思ったらすぐにアイディアを取り入れるスピード感とバイタリティが人を動かし、情報を動かし、変幻自在に姿を変える香港という街を動かしていきます。

大局的な強さと知性を兼ね備えたこの街の大胆さは、そのまま人々のファッションやライフスタイル、ビジネスにも反映されています。

 

ジュエリーの世界もそう。

デザインが個性的で華やかなのはもちろん、世界的に希少価値の高いものや財産価値、投資価値のある宝石も好まれ、代々のコレクターもいるほど。

 

香港は世界の金融センターというだけでなく、アート、とりわけジュエリーの世界でも、国際的に重要な都市と位置付けられています。

例えば、ヨーロッパの大手オークションハウス、クリスティーズやサザビーズが、著名人所有のプライベートセールスや、歴史的に価値のある品ばかりなどを集めた重要なセールスをする前に、世界の主要都市を周り数日限定でオークション品を展示する「プレビュー」というのを行いますが、アジアを周る際にプレビューの中心的役割を担う都市が、香港。

アジアで大きなセールスがある場合も、オークションは香港で行われます。

 

世界最高級クラスの宝石やジュエリーが、間近で見られるオークションプレビューには、必ずそれぞれの専門家が付き、時に、彼らから出品物の興味深いストーリーなどが聞けたりもします。 

 

近いものでは、11月13日にスイスのジュネーブで行われる、クリスティーズのジュエリーオークション「Magnificent Jewells」。

オークションハイライトの一つで、かつてオッペンハイマーコレクションでもあった、世界的に希少な天然ピンクダイヤモンドのリング。 それが現在、香港クリスティーズでプレビュー中です。 (10/4まで)

 

ファンシーヴィヴィッドという、希少なピンクダイヤモンドの中でも、されに最上級クラスとなる高い彩度と濃いカラーを持ち、カットも完璧なバランス、センターストーンは18.96キャラットという、まさに至宝の極上品です。

予想落札価格は、30〜50million USドル (約36億〜56億8千万円) とのことですが、実際の落札価格はおそらく軽々とこれを超えることでしょう

 

歴史的価値が高かったり、世界的に重要なオークションが行われる場合は、アジアでは香港、アメリカではニューヨーク、ヨーロッパではジュネーブかロンドン、とほぼ決まっています。

そんな香港のオークションハウスで見ることのできる見事なジュエリーの数々は、圧倒的な存在感で私達に語りかけてきます。

 

ショウケースのその小さな空間の中に、ひっそりと佇むひとつひとつの宝石。

ですがそれらには、装飾品や芸術品としての価値と同時に、もう一つの素晴らしいストーリーがあるのをご存知ですか?

 

数億年前に生まれた壮大な地球の記憶を持つ、鉱物としての研磨される以前の宝石達は、多くの奇跡と膨大な時間、そして最終的に人間の情熱と才能と技術を経てやっと、今ここにその姿となり存在しているのです。

 

それでもきっと、私達人間が関わっているのは、その宝石の持つ記憶の中では、最も手前のほんの一瞬だけでしょう。 それだけ宝石には、遥かなる地球のエネルギーが、長い長い記憶として組み込まれているのです。

 

私達の想像を遥かに超える強い生命力を持ち、地球内部の膨大な高温高圧エネルギーが加わったことよって生まれた、石の鮮やかな色、彩度、透明度。

中の内包物でさえも、宝石の個性と言える唯一無二の美しさを帯びたそれらは、ひとつとして同じものはありません。 

そんな宝石が記憶に持つ、地球の神秘に思いを馳せる時、なんだかワクワクしませんか?

 

宝石は、今ここにジュエリーとして存在していること自体が、大変な幸運を持っている証。

なぜって、それは数億年前の地球から送られてきた、奇跡であり生命の源であり、お守りなのですから

 

JUN