香港STYLE Vol.10 香港人と廣東話 ⓵ (2018.03.10)

つまるところ、香港の魅力って何?と聞かれたら、きっと私は「香港人」と答えるでしょう。

 

超高層ビル工事現場の竹の足場を作るのも、日本の2.5倍速はあるハイスピードエスカレーターをさらに駆け上るのも、テレサテン日本語版を大音量でかけながら、歌姫の魅力を熱く語るタクシードライバー (ちゃんと前見てね) も、みーんな香港人。

 

1日32時間生きてますオーラを振りまいて、街を闊歩する香港人

この街の住人「香港人」と、彼らのアイデンティティである「広東語」にかかると、何気ない日々が魔法のようにカラフルに彩られていきます。

 

香港のローカル言語、広東語。

「廣東話 」(グォンドンワ。英: Cantonese) 。

廣東話は、約2200年前から話されている、中国で最も古い言語です。

現在中国の公用語である「普通話」 (プートンホワ。英: Mandarin。北京語が標準音) の歴史は約400年。 廣東話の長〜い歴史は、この伝統言語が中国の戦国史をくぐり抜け、逞しく生き残ってきたことを物語っています。

 

廣東話は、香港、マカオをはじめ、中国南部の広東省、広西チワン族自治区を中心に話されている言語で、香港のイントネーションが標準です。

中国全土から見ると廣東話をネイティブとする地域はとても小さいのですが、世界中のチャイナタウン、華僑、華人社会の主流言語は、ほぼ100%廣東話。  華僑ビジネスを成功に導き世界中に根を張る華人ネットワークの要は、彼らのアイデンティティ「廣東話」なのですね。

 

中国の公用語が普通話である現在、廣東話は「方言」になるわけですが、中国の場合国土が広く、私達の想像する方言とは随分異なります。

口語コミュニケーションでの普通話と廣東話、それはもうほとんど外国語と言ってもいいほどの違い。

普通話は音が4声しかないのに対し、廣東話は9声 (細かく分けて12〜13声と言う学者もいます)。

さらに約110種類もの長短、高低、重軽、そして廣東話特有の「入声音」 ( k、t、p で終わる独特の〆音 ) など微妙な音の違いが多数あり、これが他の言語にはない廣東話の魅力的な音になっています。

また、日本語は形容詞が多いのに対し、廣東話は、動作を表す動詞が多いのも特徴です。 この辺も、それぞれの民族性と関係があるのかもしれませんね。

 

とはいっても、こ〜んな小難しくて堅苦しいこと、当の香港人が考えながら話しているわけがありません

廣東話は基本が「しゃべり言葉」です。 表現キャパシティが広く、語彙も豊か。 とにかく大きな声でどんどん話す、これにつきます。

語気が強く、発音、声調、声量、そして発声のスピードがキーポイントの廣東話。

香港に住み、この土地の人や文化や習慣にどっぷり浸かりながら慣れていくこと、それが習得のポイントです。

 

かくいう私も、まだまだ修行の身。 幼少期にこの街で過ごした音の記憶は、細胞レベルではどこかにあるのでしょうけれど、なにせ頭で考えようするから、2つ入っては1つ抜けの繰り返し

しかしそこは国際感覚の洗練された香港人。 相手が言わんとすることへの察しは鋭く、結構な頻度で理解してくれる彼ら。 ありがたや

 

たまに私の発音が違うと1回では通じず、ただそれ以上は絶対に待ってくれない香港人

大きな声で「はぁ〜〜〜〜〜??!!」と肉屋のおじちゃんに露骨なイラッと顔をされることもありますが、そんなことで怯むようでは香港では生きて行けません。

基本裏表はなく、人好きでお喋り好きでハートは温かい彼ら。 意地悪の「はぁ?!」ではなく、本当に聞き取れなかったと思って間違いなし。

よしそれならばと、声量調整のつまみをMAXにし、おじちゃんの「はぁ?!」を大きく上回るボリュームで、はいもう一回。 無事成功

「哦! 我知你講乜喇!」(オ〜! ンゴツィレイゴンマッラー!)

訳: お〜! 何だいそーゆーことかいラー!

と豪快ガハハで返って来ます

おじちゃん、おもしろすぎ

 

関われば関わるほど彼らの温かみに触れ、幸せ貯金を増やしてくれる人達。 それが私にとっての香港人なのです

 

JUN

香港STYLE Vol.9 海からの贈り物 (2018.03.03)

海に囲まれ、亜熱帯性気候と海洋性気候それぞれの良いところを合わせ持つ香港。

地理的な優位性と海運に有利な地形の恩恵を受けながら、アジア随一の貿易港として発展してきました

 

南シナ海の航海ルートにつながる、香港島の南西部。 そこには、どこまでも続く高い空と翡翠色の水を湛える大きな海が広がります。

 

朝靄に覆われた海、遠くで長く響く船舶の汽笛。

高く登った太陽の下で、水面に真っ白な水しぶきを描きながら目の前を横切る高速客船。

夕暮れ時の帰り道ふと立ち止まると、語りかけられているような柔らかい海の香り。

そんな何気ない一つ一つの瞬間、海と香港と生命体としての自分が、パズルのピースのようにぴったりと合ったかのように、とても不思議な満たされた感覚になります。

 

古くから海は女性を表すのだそうです。  それゆえその海を守る神様は、男性。

ローマ神話ではネプチューン、ギリシャ神話ではポセイドン、日本神話でも大綿津見神 (おおわたつみのかみ) という、全て男性の神様なのだそうです。

そのためか、船は必ず女性として扱われ「she」と呼ばれますね。

 

また、女性が航海を指揮すると海が嫉妬して荒れ狂うから、古式ゆかしい船舶の世界は今でも圧倒的に男社会なのだという、ちょっぴり夢のある話も聞いたことがあります。

 

海に囲まれた香港がいつの時代も運に恵まれてきたのは、この街が、海の神様に守られてきたからなのかもしれません。

 

 

40億年前、地球に誕生した海。 気の遠くなるような時間をかけて、ゆっくりと生命を生み出してきた海。

女性がその人生で何度も生まれ変わるように、海には創造と再生という、神秘の力が秘められているような気がしてなりません。

 

母なる海から生まれる奇跡、それが「真珠」と「珊瑚」です。

洋の東西を問わず、古来より人間のお守りとして大切にされてきたこの「海の宝石」は、私達の生命力と創造力を高めると言われています。 身につけるたびに記憶のどこかが懐かしさを感じる、不思議な魅力があります。

 

「純潔」「長寿」「富」のシンボル、真珠。

クレオパトラに愛され月の雫とも言われる真珠は、古代ギリシャ神話で愛と美の象徴として人々の心を癒してきました。

 

真珠の持つ波動には、気持ちを優しく鎮め人に安心感を与えるヒーリング効果があるそうです。 また古くから、枕元に真珠を置いて眠ると安眠をもたすと言われ、女性の美容と健康のお守りとして大切にされてきました。

真珠は、母貝が自らの分泌物によって異物を包みこむことによって美しく産み出されることから、妊婦や安産のお守りとして、母から娘、孫へと受け継がれていく宝石になったのです。

 

「長寿」「聡明」「幸福」のシンボル、珊瑚。

珊瑚は古くから、怪我を防ぎあらゆる危険を退ける大きな力が宿つ宝石と言われています。

 

古代ローマ時代には、剣闘士がお守りとして兜の中に珊瑚を入れたり、航海に出る船乗りが護符として肌身離さず身につけていたそうです。 また、妊婦や子供の成長を守る宝石としても、珊瑚は古くから大変貴重なものでした。

特に深い赤色の珊瑚は、身につけると血行が良くなり、体温と身体の回復力が上がると言われています。

また香港では、女性が19歳になると祖母や母から娘に赤珊瑚が贈られる、美しい習慣があります。

ぴたりと満月の夜にだけ珊瑚が産卵するのも、月が女性の美しさと切っても切れない密接な関係にあるのも、珊瑚と女性は、何か目に見えない不思議な力で結ばれているような気がします。

 

 

すべの生命の源「海」が創り出す神秘、真珠と珊瑚。

それは、海という幸運を授かった地球から、私達への美しい贈り物ですね。

JUN

 

香港STYLE Vol.8 香港の旧正月 ⓷ (2018.02.24)

今年は2月16日に旧正月を迎えた香港。

旧正月の初日は、お店やレストランの多くが営業し、街中が新年お祝いの挨拶「恭喜發財」に包まれます

ヨーロッパの静かなクリスマスとは違い、とても明るく賑やかにお祝いします。

 

そんな香港旧正月の準備を盛り上げるのが、

年宵花市 (リンシウファシ)、香港の旧正月フラワーマーケット

多くの地元の人達で賑わうこの大規模な花市、毎年旧正月の約1週間前から旧正月初日まで、期間限定で開催されます

場所は香港島の繁華街、銅鑼灣 (Causeway Bay) にあるヴィクトリア公園の特設会場。

 

香港には、たくさんの花を飾って旧暦の新年を迎えるという伝統があります。

広東語の「花開富貴 」(ファホイフグァイ) という縁起の良い言葉、「花が開いて富貴になる = 運が開けて地位が高くなり財を得られる」にちなんで伝わる、地元の人達にとって大切な伝統です。

花市では、見事な胡蝶蘭や百合などが旧正月仕様に活けられ、幸運の象徴水仙やカーネーションなど色鮮やかな花々は、香港の旧正月花市ならでは

 

この年宵花市、一般向け季節の花市としての規模と種類の多さは、アジア随一だそうです。

連日、花市はとにかく人、人、人 おめでたいことにはお金を惜しまない、旧正月直前の香港風物詩です。

 

花々に加えてマーケットの一角には、雑貨、お土産物、燒賣 (シウマイ) や豆腐 (ダウフ) などローカルフードの屋台、そして家電製品のたたき売りまで。。。

そう、ここは香港。 ビジネスチャンスとあらば、どんな小さな可能性も見逃さない香港人

花ともお正月ともあまり関係ない便乗ビジネス屋台もあったりして、何でもオッケーのお祭り感は、まさに香港スタイルです

 

伝統としてもエンターテイメントとしても楽しめる、活気のある年宵花市。

香港で新年を迎える準備はこの花市抜きには語れないほど、地元の人達に愛されている伝統行事です。

 

さて、香港旧正月のお飾りに欠かせない花と言えば、紅桃  (ホントウ)。

桃は中国で古くから伝わる、長寿とロマンスのシンボル。 そして紅桃はその発音が、ビジネスで財を成すという意味の広東語 鴻圖  (ホントウ) とよく似ていることから、人や財産の縁をつなぐと考えられています

金融街のオフィスビル、高級ショッピングモール、マンションのエントランスに至るまで、旧正月期間中の香港は、街中に紅桃が飾られます

毎年日付けが変わる旧正月ですので、ほぼ初日に合わせて開花されるよう育てられ出荷される紅桃。 満開の紅桃は、圧倒的な美しさと華やかさです。

 

そしてもう一つ、香港旧正月の装飾で欠かせないのが、中国潮州産の蜜柑 タンジェリン。

広東語で、  (ガッ)。

 

吉祥と富の象徴であるタンジェリンは、中国広東地方の伝統的お正月飾りです。

これも広東語の「」(ガッ) という縁起の良い字と読み方が同じことから、おめでたいお正月飾りに用いられるようになったそうです。

このように、ぎっしり実のなったタンジェリンの鉢植えに、赤い利是 (香港版お年玉) 封を一緒に飾るのが香港スタイル。

タンジェリンの黄金色 = お金、財産
丸い実の形 = 円満
葉の緑色 = 健康
豊富に実るタンジェリン = 富の繁栄
利是封の赤色 = すべての幸運

という意味があるそうです。 めでたさ満開ですね

 

香港ではいろいろな場面でよく縁起を担ぎますが、おめでたいお正月はさらに特別。 これでもかというほど、縁起ものが盛り込まれます。

 

このタンジェリンの鉢植えは旧正月中街あちこちに飾られ、年宵花市でもこのように家庭用の鉢植えとして地元の人達が必ず購入する縁起物です

 

また、建物のエントランスや家の玄関に左右対称に置かれたり紅桃の周りを囲むように飾られ、とても華やかな雰囲気になります。

 

 

会うたびに新しい風を起こす、エネルギッシュな香港人。 そして、古くからの伝統もとても大切にする彼ら。

この心の新陳代謝が、香港人の若々しさや美しさにもつながっているのかもしれません

恭喜發財、大吉大利

 

JUN

香港STYLE Vol.5 香港マダムのお気に入り – ファッション編 – (2018.02.03)

ロンドン、ニューヨークと並ぶ世界3大金融センターの国際都市、香港 世界中から人が集まるこの街では、ファッションもアートも食もライフスタイルも、明確な自己表現のためのプレゼンテーション手段になります。 実にあっけらかんと、…

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