香港STYLE Vol.40 オークションプレビューで出会う香港 (2018.10.06)

香港からこんにちは

 

10月に入り、爽やかな秋の晴天が続く香港

摩天楼の上層階が、時にすっぽり霧に覆われてしまうほどの高い湿度は、これから数ヶ月間はちょっとお休みです

先日の国慶節の祝日にヴィクトリア湾で打ち上げられた花火も、秋の夜空に降り注ぐ宝石の雫のように、煌びやかで幻想的なひとときでした。

 

香港は、歴史的な経緯、地理的な有利性という運を味方に、柔軟性、敏速性などグローバル時代にマッチした類い稀な対応力によって、世界中の人と人、物と物、利益と利益を繋ぐことでビジネスを生み出し、繁栄を遂げてきた街です。

 

そんな富の集まる香港で、長い歴史を持つのが美術品オークション。

これぞまさに、人と人、物と物、そして利益と利益を繋ぐ、イギリス発祥のビジネスです。

世界の美術品競売市場の9割がこの2社で占められていると言われる、世界最高峰の国際競売会社、クリスティーズとサザビーズ。

 

9月28日〜10月4日にかけて、香港クリスティーズであるオークションプレビューが行われました。

11月13日にスイスのジュネーブで行われる「Magnificent Jewels Geneva」のハイライトと、11月27日の香港で行われる「Magnificent Jewels Hong Kong」のプレビューです。

 

オークションシーズンは主に、春と秋。 

クリスティーズやサザビーズで取り扱われる商品は、ジュエリー、時計、絵画、美術品、家具、カーペット、ワイン、楽器や楽譜、住宅不動産などで、小さなオークションは世界各都市で通年行われています。

それぞれの分野のトップエンド、つまり芸術的にも資産的にも価値の高いものを集めた、重要なオークションが開催されるのが、春と秋なのです。

 

それらは必ずロンドン、ジュネーブ、香港、ニューヨークで行われ、毎回各分野で入札希望者達の華麗なる攻防が繰り広げられます。 

時に落札価格が世界最高記録を更新するなど、オークションの舞台裏は絶対的な秘密厳守の世界であり、大変魅力溢れる競売の世界なのです。

 

オークションハウスが、出品者と落札者、それぞれ双方から得る手数料は、落札額の25%ずつ。

そう、あるロットがもし1億円で落札されたら、オークションハウスには、落札額の計50%に当たる5千万円が入る手はずになっているのです。 

また、落札者が実際に支払う金額は、落札額に25%を上積みして、この場合は1億2千5百万円になります。 落札者は落札から1週間以内に、全金額を支払うことになっています。

 

という、オークションの着想や運営手法は、いかにもイギリス的と言えるでしょう。 それでも世界中に社交界、王族、実業家など富が存在し、コレクターが存在する限り、オークションハウスは不滅なのです。

 

また、信用第一のオークションハウス。 いかなる理由であっても、顧客の情報を警察に開示することは一切ないそうです。  重要なオークション会場で、必ず電話担当者がいるのも、入札者の身元を知られないため。

グローバルスタンダードでは、高額な入札品ほど、それを取り巻く入札希望者達の事前情報や詳細は決して外部に漏れませんし、落札後もメディアや公に落札者の名前が明かされる、又は明かすことはまずありません。

浮かれた落札者本人が目立ちたいという成金で、自ら名乗り出れば話は別ですが。。。 去年そういう人いましたね、日本に

 

さて、そんなクリスティーズ香港での「Magnificent Jewels Geneva and Hong Kong」プレビュー。  ジュネーブオークションのハイライト、18.96キャラットのピンクダイヤモンド「The Pink Legacy」も展示されました。

地球内部の高音高圧で圧縮された証の、彩度の強いピンク。 透き通る石を最大限に生かした、美しくバランスの良いカット。 ダイヤモンドならではの、清く、強く、凛とした輝き。 

何時間でも見ていたい、そんな美しさと高潔さと魅惑の輝きを持つピンクダイヤモンド。 今週末からは、ロンドンでのプレビューに行っているはずです。

 

他にも、1912年カルティエ社製のダイヤモンド・ティアラ。

 

アール・デコのエメラルド・カボションカットのブローチ兼ペンダントや、ヴァンクリーフ&アペル社製のダイヤモンドネックレスやブレスレット。

 

カルティエ社製のコロンビア産ドロップ型エメラルドイヤリング。

 

1922年カルティエ社製アール・デコの赤珊瑚とパールとダイヤモンドのブローチなどなど。

 

遥かな時を超えて輝き続けるジュエリー。

クリスティーズで出会った品格のジュエリーは、香港というこの街が辿ってきた奇跡と繁栄とも重なる、珠玉の幸運を持っているような気が、とてもするのです

 

JUN

 

香港STYLE Vol.39 宝石が贈る記憶 (2018.09.29)

香港からこんにちは

 

中秋節が過ぎ、都心でも少しずつ秋の気配を感じるようになってきた、9月も終わりの香港

 

初夏から夏にかけては、空の真上から強く照りつけていた太陽もここにきて、ふっと力を抜いたように穏やかな陽射しに変わり、人や風景とも調和する秋色ハーモニーを作り出しているようです

世界中の人々が集まる香港には、異なる文化や価値観を受け入れる、精神的に豊かな土壌があります。 若い頃から海外で教育を受ける若者も多く、考え方も美意識もグローバル。 

斬新な発想や、良いと思ったらすぐにアイディアを取り入れるスピード感とバイタリティが人を動かし、情報を動かし、変幻自在に姿を変える香港という街を動かしていきます。

大局的な強さと知性を兼ね備えたこの街の大胆さは、そのまま人々のファッションやライフスタイル、ビジネスにも反映されています。

 

ジュエリーの世界もそう。

デザインが個性的で華やかなのはもちろん、世界的に希少価値の高いものや財産価値、投資価値のある宝石も好まれ、代々のコレクターもいるほど。

 

香港は世界の金融センターというだけでなく、アート、とりわけジュエリーの世界でも、国際的に重要な都市と位置付けられています。

例えば、ヨーロッパの大手オークションハウス、クリスティーズやサザビーズが、著名人所有のプライベートセールスや、歴史的に価値のある品ばかりなどを集めた重要なセールスをする前に、世界の主要都市を周り数日限定でオークション品を展示する「プレビュー」というのを行いますが、アジアを周る際にプレビューの中心的役割を担う都市が、香港。

アジアで大きなセールスがある場合も、オークションは香港で行われます。

 

世界最高級クラスの宝石やジュエリーが、間近で見られるオークションプレビューには、必ずそれぞれの専門家が付き、時に、彼らから出品物の興味深いストーリーなどが聞けたりもします。 

 

近いものでは、11月13日にスイスのジュネーブで行われる、クリスティーズのジュエリーオークション「Magnificent Jewells」。

オークションハイライトの一つで、かつてオッペンハイマーコレクションでもあった、世界的に希少な天然ピンクダイヤモンドのリング。 それが現在、香港クリスティーズでプレビュー中です。 (10/4まで)

 

ファンシーヴィヴィッドという、希少なピンクダイヤモンドの中でも、されに最上級クラスとなる高い彩度と濃いカラーを持ち、カットも完璧なバランス、センターストーンは18.96キャラットという、まさに至宝の極上品です。

予想落札価格は、30〜50million USドル (約36億〜56億8千万円) とのことですが、実際の落札価格はおそらく軽々とこれを超えることでしょう

 

歴史的価値が高かったり、世界的に重要なオークションが行われる場合は、アジアでは香港、アメリカではニューヨーク、ヨーロッパではジュネーブかロンドン、とほぼ決まっています。

そんな香港のオークションハウスで見ることのできる見事なジュエリーの数々は、圧倒的な存在感で私達に語りかけてきます。

 

ショウケースのその小さな空間の中に、ひっそりと佇むひとつひとつの宝石。

ですがそれらには、装飾品や芸術品としての価値と同時に、もう一つの素晴らしいストーリーがあるのをご存知ですか?

 

数億年前に生まれた壮大な地球の記憶を持つ、鉱物としての研磨される以前の宝石達は、多くの奇跡と膨大な時間、そして最終的に人間の情熱と才能と技術を経てやっと、今ここにその姿となり存在しているのです。

 

それでもきっと、私達人間が関わっているのは、その宝石の持つ記憶の中では、最も手前のほんの一瞬だけでしょう。 それだけ宝石には、遥かなる地球のエネルギーが、長い長い記憶として組み込まれているのです。

 

私達の想像を遥かに超える強い生命力を持ち、地球内部の膨大な高温高圧エネルギーが加わったことよって生まれた、石の鮮やかな色、彩度、透明度。

中の内包物でさえも、宝石の個性と言える唯一無二の美しさを帯びたそれらは、ひとつとして同じものはありません。 

そんな宝石が記憶に持つ、地球の神秘に思いを馳せる時、なんだかワクワクしませんか?

 

宝石は、今ここにジュエリーとして存在していること自体が、大変な幸運を持っている証。

なぜって、それは数億年前の地球から送られてきた、奇跡であり生命の源であり、お守りなのですから

 

JUN

香港STYLE Vol.38 ユニバーサルなシグナル10 (2018.09.22)

香港からこんにちは

 

大荒れに荒れた先週末。

いやいや何が荒れたって、金融市場でもなく、大井競馬のレースでもなく、うちのオカンでもなく、、、

 

香港住民もれなく全員、強制引きこもりとなった、超大型台風「山竹」(Mangkhut。マンクット)。

 

香港の気象台に当たる香港天文台 (Hong Kong Observatory) が出す、暴風最高警告レベルのシグナル10が発令され、家の中では窓に近寄らぬようアナウンスされ、それでも猛威を振るい香港全土に爪痕を残していきました。

 

山の形が変わってしまうほど多数の木がなぎ倒され、道路は寸断。

これは香港島中心部、Mid-LevelsのKennedy Road。

 

あまりの風圧に鉄筋コンクリートの高層マンションも揺れ、地上100メートル級の自宅で船酔いする羽目になった、多くの香港住民

オフィスビルの窓ガラスは、強化ガラスにも関わらず風圧で割れ、

大事な書類よ、さようなら〜

 

何もしないよりはきっとマシ、と心に言い聞かせ、祈るような気持ちでマスキングテープを貼って窓を補強する親のその横で、ふざけるキッズ

まぁこうなるわな。 スパイダーマン

 

こちらは、友人宅のやる気ゼロのヘルパーさん作、窓補強。(台風が来るでしょ。 うちのヘルパーに予防策を敷いてと頼んだのよ、例えば、窓に大きなクロスを接着してテープしてとかね。 で彼女がやったのがこれ

ちっとも予防策になってない上に、なんかとってもクリスチャン。 祈れば何とかなる的アプローチか 

 

一方で、祈りも努力も虚しく場所によってはこうなる、ホラーの高層マンションベッドルーム。 窓枠ごと、バイバイウィンドウ

 

また、高層ビル建築現場のクレーンが折れて落下したり、冷房室外機が外れて宙に舞い、2人掛けソファがビル50階の高さを超えて飛んで行き、下を見れば海水に浸るハーバーフロントマンションのレセプションもあり。。。

 

 

大混乱の台風マンクットでしたが、香港での人的被害は、実はケガ人のみ。 それも香港全土でたったの391人という少なさ。

あっという間に元の生活に戻る街の回復の速さには、香港社会の段取りの良さと、明解なシステム作りの上手さが関係しているようです。

 

 

香港には、台風の暴風警告レベルを、簡単な数字で表示するシグナルがあります。 台風が近づくと香港天文台からシグナル警報が発令され、低い方から順に、1、3、8、9、10。

シグナル1は、ほぼナッシング。 3も全〜然余裕 

ところが、これがシグナル8になると、全ての交通機関が止まり、証券取引所を始め、金融機関、企業、商店も商業活動停止と法で決められています。 この時点で、香港の路上からほぼ人が消えます。 (ただし、8が解除されたら2時間以内に会社へGoという、無情ルールもあり)

さらには、暴雨警報を表すレインストームシグナルも。 弱い方からイエロー、レッド、ブラックと色で表し、小さな子供でも外国人でも理解できる、大変合理的なガイドライン。

 

マンダリンの扇子も一枚吹っ飛んだ

 

中心付近の気圧905hPa、最大風速60m/s、最大瞬間風速80m/sの勢力で、、、などと言われて、はい了解〜と、実感として掴める人がどれくらいいるかと考えたら、この香港天文台の簡単な数字と色による、名付けて「ほなごちゃごちゃ言わんで警告したれシステム」はまことに賢く、これぞ香港スタイルと思うのです。

 

かくいうマンクットは、暴風暴雨共にレベルMAXの「シグナル10 & ブラックレインストーム」台風であると数日前から発表されていたわけで、誰でも理解できる明解なガイドラインがあるだけで、無駄な被害を未然に防げられる部分というのも、あるかもしれませんね。

 

ちなみにマンクットという名前そのものは、この超デラックス破壊力の台風からは想像もつかない、甘〜くジューシーなフルーツ、マンゴスチンのこと

台風のネーミングさえも連想の斜め上。 予想外の巨大台風を生み出す、マジギレ寸前の最近の地球

あぁそういえば遥か彼方の火星でも、こんな嵐が毎日あるんだったなぁと映画「The Martian」を思わぬところで思い出し、現在のグローバル社会から未来のユニバーサル社会へと、台風マンクットから始まるギャラクシーへの壮大な夢

 

そしてどこの惑星に移住しても、港人のこのスピリットはきっと永遠かなとも思うのです

We love to take care of our money.

 

JUN