香港STYLE Vol.80 休息日の赤 (2019.07.14)

香港からこんにちは

 

日本全国が梅雨明けとなるのは、まだもう少し先のようですね。 

春夏秋冬が鮮明に存在する日本と違って、香港は一年の4分の3.3は夏。

4月頃からぐんぐん上がる湿度は、6月頃にピークになり、この湿度がまたお肌にいいことこの上なし

ですが、香港の湿度は除湿機という可愛いもので対応しきれるようなカワイイ湿度ではないため、建物の中は、ご存知香港名物、極寒冷房になるのです。 

 

とにかく、高音多湿を一気に飛ばそうとするため、風速レベルは、日本の冷房機能なら必ずある「微弱、弱、中、強」という、利用者の都合に合わせますよの段階的な神チョイスは最初からなく、いきなり最強風速「嵐」

設定温度も、もちろん利用者の都合には合わせない、調節できない、するつもりもない、、という、ないないづくしの10℃設定オンリー  

そもそも香港冷房に温度設定などはなく、市民は常に冷房に関してはオンかオフか、すなわち、凍るかカビるかの究極の2択を迫られているのです

 

という、利用者目線ではなく完全に設置業者上から目線の香港冷房。 

建物の中は冬のニセコ、外はアマゾン熱帯雨林の地球半周ワープを、香港に居ながら一日に何回も体験できてしまうのです。

 

ですが、このニセコとアマゾンの繰り返しが、どの漢方ジュースを飲むより、「24時間戦えますか」のリゲイン (若者は知るまい。この歌覚えている貴方は立派な昭和人) を飲むより、確実に身体も頭もシャキッとするという、この不思議。。。

身体にいいんだか悪いんだかよく分からないけれど、名付けて、香港式ニセコ・アマゾン血行促進健康法。 医学的根拠はゼロです

 

 

なにはともあれ、こんな毎日、酷寒猛暑を日に何度も体験する極端な環境の香港アスファルトジャングル。

街の雑踏、騒音、サバイバル競争にはいつのまにか慣れますが、大都会ならではの強い磁場という、目に見えない強力なエネルギーが常に渦巻いていることも確かなのです。

 

そんな時、心身共にいいコンディションを保つため意識をすることが大事だなぁとも思うのです。

 

何でも良いのですが、例えば、完全な休息日を確保することや、その休息日に自分が喜ぶお洒落をする、好きな風景だけをただ見に出かけたり、好きな場所で好きな読書に没頭したり、又は、な〜んにもしないと決めて本当に何もしない、、、などなど。

 

そんな、純粋に自分のためのわがままな時間を大切にする自由な精神が、心身共にいいコンディションと若々しさを保つ秘訣のような気がするのです

 

公私ともに責任のある立場になればなるほど、仕事でも家の中でもやることは次々と発生、寝不足続きでちょっぴりエンジン稼働不足になったりしますよね。

何かのために、誰かのためにめいっぱいエネルギーを注いだなら、週に一度の休息日は純粋に自分にフォーカス。 

そこで、私がやってみて効果絶大だったのが、一点「赤」を身につける、ということ

赤というと、エネルギーに満ち溢れた情熱的なイメージの色でもあり、休息日に見ると余計疲れてしまうかな?と思ったら、むしろその逆。 

躍動的で活力があり、華やかでちょっぴりドキドキする「赤」は、休息日の幸福感を倍増させ、新しい翌週のスタートが待ち遠しくなるほど豊かな英気につなげてくれる、特別な色なのです。

 

ポイントは、小さな面積に一点だけ取り入れること。

真っ赤なワンピースやジャケットを一枚サラリと着るのもお洒落上級者ならとてもステキですが、大きな面積ではハードルが高いと感じるなら、ハンドバッグやシューズ、リップ、ジュエリーなどを、他とシンクロさせることなく、どれか一点だけ赤にしてみる。

すると不思議。 どんなにカジュアルな休日の装いでも途端にグッと華やかになり、血色もよく見え、気分も上がり表情まで明るく、いいことづくめ

 

ビジネスシーンで外に向けたプレゼンテーションの赤ではなく、休息日に身につける、自分が喜ぶ自分のための、赤。

 

そんな小さな赤の楽しみを、一点取り入れてみてはいかがでしょう。

またもう一つ、幸せの歯車が回り始めるのをきっと実感するはずです

 

JUN

香港STYLE Vol.79 スパイスとコントラストと艶 (2019.07.07)

香港からこんにちは

スコールの合間にはこんな高い青空が見られる香港。 街にも表情というものがありますね。

たとえば、少しずつ色味が異なる同系色を丁寧に重ねていき、奥行きのあるワントーンを作り出すのがイギリスや北ヨーロッパの街並みや街に合うお洒落だとしたら。。。

異色、異素材、反対色を狭い範囲に集めることで、メリハリと立体感が表れすっきりとした華があるのが香港の街並みであり、この街に似合うお洒落。

クラッシックでもモードでもスポーティーでも、ヨーロッパが得意とするのが、ニュアンスとマットなお洒落。 そこへいくと香港は、スパイスとコントラストと艶のお洒落、なのではないでしょうか。

 

 

ところで、よく言われる、香港の女性は強いですよね〜という、賞賛とも、場合によってはその逆とも取れる、でも100パー紛れもない事実のこのウワサ。

もっとも、男性がこれを言う場合と女性が言う場合では、それぞれ「強い」の意味合いが若干違ってたりもするのですが、まぁそれを話し始めると、「男性は火星から、女性は金星からやって来た」生物学的なそもそも論からスタートするはめになり、面倒なことこの上ないので、ここではバッサリ割愛 私のお得意「それはさておき論」で進めます

一般に、強い、自信家などの誉れ高き香港女性ですが、早い話、それは事実か否か?という話になった時、、、

 

はい、事実と思いますわ。 私の目から見ても

骨格が大きい西洋人女性がお得意とする権利や主張の押しの強さは、一見彼女達を屈強に見せますが、香港の女性を前にすると、なんのなんの意外と繊細だったんだと霞んで見えるくらい、タフで自信家で美しい私の周りの香港の女性友人達。 恐るべし、愛すべき存在です。

香港の友人達の行動力は側から見ていても頼もしく清々しく、圧倒的にメンタルが大人。 でもその行動力が、自信だけによるものではない、ということも長い付き合いの中で次第に見えてくるのです。

彼女達とて生身の人間。 誰もがオギャーと生まれた赤ん坊からスタートして、最初から自信のある人なんているはずもなく。。。

メンタルが大人の彼女達の行動のベースにあるのは、自信ではなくて、好奇心。

そう、好奇心があるからやってみる。 それが経験になる。 そしてそれが自信となり、次の行動がまた好奇心を生み出す。。。

 

 

 

 

簡単そうに見えて、人間どこかで未知のものを前にするとつい、余計な不安を頭で想像しては躊躇してしまうもの。

でもそのラインをスパッと切り、頭や知識では選ばない、基準は自分の直感。 そう、自分が好きかどうか。

そうやって軽やかな足取りで前へ次へと進む香港の女性達は、やっぱりタフでスピーディーで自信家で、そして内面から美しいのです。 

 

今まで手に取ったことのなかった翠色の宝石を、初夏のお洒落に一つ取り入れてみる。

 

鮮やかな緑色のサテンのシャツで、気が向いたら夏のポジティブな陽気を演出してみる。

ピシッと糊の効いた白いシャツにタッセルネックレスを合わせて、コンサバティブにドラマチックに遊んでみる。

 

2019年も後半に入り、そんな香港スタイル、翠色のスパイスとコントラストと艶をさっとお洒落に取り入れてみるのも、案外素敵かもしれないですね。

 

JUN

 

 

香港STYLE Vol.78 海とサファイアとコンテナ船


香港からこんにちは

香港で、私が一番に心惹かれる光景があります。 それは、摩天楼と光の空間芸術、ビクトリアハーバーの100万ドルの夜景でもなく、アジアのディープ&チープ、何でもアリが面白い旺角 (Mong Kok) のストリートマーケットでもなく、大人数でワイワイ、週末の飲茶レストランの明るい喧騒でもなく、、、

 

香港の海

 

いくら考えても明確な答えは出てきませんが、なぜにこうも、香港の海が好きなのだろうかと思いを巡らせるほど、これはもうきっと感覚で好きなのだろうと思うのです。

しかも、水平線以外な〜んにも見えない、天国に一番近いようなリゾートの海、という景色より私が好きなのは、ずばり、、、

 

交通量の多い、海

波しぶきをあげて進む、離島を結ぶ高速フェリー。 埋め立て用の土を運ぶ三角塔を乗せた運搬船。 シネマルームやジムまで付いた、贅を尽くした個人所有の大型クルーザー。 数千個もの大きなコンテナを運搬する全長400メートル近くもある巨大コンテナ船。 ぷかぷか浮かぶ地元の人達の無数の小さなフィッシングボート。。。

 

それら大中小様々な船舶が、目の前をひっきりなしに行き交う、物流と人流の香港の海。  そんな光景が大好きなのです。 

 

特に、海上をいく大型コンテナ船を観察するのは、私のオタク的隠れ趣味といってもいいくらいで (言ってしまったので、もう隠れてませんが)、南シナ海の航行ルートから青馬大橋 (Tsing Ma Bridge) をくぐり、波風一つ立てずに悠々と進む大きなコンテナ船と海の風景は、実際に目にするたびに、なぜか心震えるほどの美しさを感じるのです。

 

前日までに全ての積荷を終え、早朝一番で出港したコンテナ船が、朝日を受けながら真っ青な大海ルートに出て行く悠然とした後ろ姿。

夕方には、日没前の入港に間に合った安堵感を称えて (キャプテンの気持ち?)、夕陽に照らされながら香港入りする黄金色の大型コンテナ船と、遠目にはまるでパヴェダイヤのようにきらきら輝く香港の海。

 

船舶の行き交う海が見える場所を特に好むからでしょうか。 自然と海に調和する色、たとえば、紺碧色、翠色、白、赤といった大人のマリンカラーが、今までの私のベーシックカラー、北ヨーロッパ的なオフホワイトや黒、紺、ベージュ、グレージュといった色に加わるようになったのです。

 

紺碧色

 

紺色とも藍色とも違う、深く、でも深すぎない情熱と知性をバランスよく兼ね備えた色ではないでしょうか。 

 

一瞬で何も見えなくなるほど周りが真っ白になる激しいスコールの後。。。

目の前に再び姿を現す香港の海は、より深い紺碧色を湛え、

その色彩の変化は、期せずしてブルーサファイアやカシミールサファイアを連想させるようで、実は私が香港で最も「好き」を感じるひとときなのです。

 

 

サファイアは、産地が重要な宝石の一つです。

小粒に研磨され、パヴェセッティングなどのジュエリーに使われる多くのサファイアは、オーストラリアやカンボジア、ナイジェリア産。

 

大粒で美しく最高級のサファイアの主産地は現在、ミヤンマー、スリランカ、マダガスカルとなっています。

 

大粒の無処理のブルーサファイアは、本当に力強い美しさを秘めていて、スコールの後の香港の海の色彩のようなのです。

 

ブルーサファイヤの中でも極めつきの最上級『カシミールサファイア』は、インドとパキスタン国境付近にあるカシミール地方、標高4000メートルの高地バッダール渓谷で、山崩れによって露出した岩壁のくぼみから、1880年代始めにたまたま発見されました。

その後僅か数年で枯渇し、1887年までには最上質の大型結晶のほとんどは採りつくされたと考えられている、幻のサファイアです。

ヴェルヴェットのような、シルクのヴェールが石の中にかかっているような、なんともいえない魅力的なブルー。

このカシミールサファイアは、今ではオークションなどで目にすることができるのみの、大変希少価値のある宝石なのです。

 

人間のDNAに刻み込まれた記憶とは不思議なもので、全ての生物の命が海から始まったように、また、宝石となる鉱物が地球から生まれたように、原点回帰ということに、どこか無条件で惹かれるものなのかもしれないですね

 

JUN