香港STYLE Vol.38 ユニバーサルなシグナル10 (2018.09.22)

香港からこんにちは

 

大荒れに荒れた先週末。

いやいや何が荒れたって、金融市場でもなく、大井競馬のレースでもなく、うちのオカンでもなく、、、

 

香港住民もれなく全員、強制引きこもりとなった、超大型台風「山竹」(Mangkhut。マンクット)。

 

香港の気象台に当たる香港天文台 (Hong Kong Observatory) が出す、暴風最高警告レベルのシグナル10が発令され、家の中では窓に近寄らぬようアナウンスされ、それでも猛威を振るい香港全土に爪痕を残していきました。

 

山の形が変わってしまうほど多数の木がなぎ倒され、道路は寸断。

これは香港島中心部、Mid-LevelsのKennedy Road。

 

あまりの風圧に鉄筋コンクリートの高層マンションも揺れ、地上100メートル級の自宅で船酔いする羽目になった、多くの香港住民

オフィスビルの窓ガラスは、強化ガラスにも関わらず風圧で割れ、

大事な書類よ、さようなら〜

 

何もしないよりはきっとマシ、と心に言い聞かせ、祈るような気持ちでマスキングテープを貼って窓を補強する親のその横で、ふざけるキッズ

まぁこうなるわな。 スパイダーマン

 

こちらは、友人宅のやる気ゼロのヘルパーさん作、窓補強。(台風が来るでしょ。 うちのヘルパーに予防策を敷いてと頼んだのよ、例えば、窓に大きなクロスを接着してテープしてとかね。 で彼女がやったのがこれ

ちっとも予防策になってない上に、なんかとってもクリスチャン。 祈れば何とかなる的アプローチか 

 

一方で、祈りも努力も虚しく場所によってはこうなる、ホラーの高層マンションベッドルーム。 窓枠ごと、バイバイウィンドウ

 

また、高層ビル建築現場のクレーンが折れて落下したり、冷房室外機が外れて宙に舞い、2人掛けソファがビル50階の高さを超えて飛んで行き、下を見れば海水に浸るハーバーフロントマンションのレセプションもあり。。。

 

 

大混乱の台風マンクットでしたが、香港での人的被害は、実はケガ人のみ。 それも香港全土でたったの391人という少なさ。

あっという間に元の生活に戻る街の回復の速さには、香港社会の段取りの良さと、明解なシステム作りの上手さが関係しているようです。

 

 

香港には、台風の暴風警告レベルを、簡単な数字で表示するシグナルがあります。 台風が近づくと香港天文台からシグナル警報が発令され、低い方から順に、1、3、8、9、10。

シグナル1は、ほぼナッシング。 3も全〜然余裕 

ところが、これがシグナル8になると、全ての交通機関が止まり、証券取引所を始め、金融機関、企業、商店も商業活動停止と法で決められています。 この時点で、香港の路上からほぼ人が消えます。 (ただし、8が解除されたら2時間以内に会社へGoという、無情ルールもあり)

さらには、暴雨警報を表すレインストームシグナルも。 弱い方からイエロー、レッド、ブラックと色で表し、小さな子供でも外国人でも理解できる、大変合理的なガイドライン。

 

マンダリンの扇子も一枚吹っ飛んだ

 

中心付近の気圧905hPa、最大風速60m/s、最大瞬間風速80m/sの勢力で、、、などと言われて、はい了解〜と、実感として掴める人がどれくらいいるかと考えたら、この香港天文台の簡単な数字と色による、名付けて「ほなごちゃごちゃ言わんで警告したれシステム」はまことに賢く、これぞ香港スタイルと思うのです。

 

かくいうマンクットは、暴風暴雨共にレベルMAXの「シグナル10 & ブラックレインストーム」台風であると数日前から発表されていたわけで、誰でも理解できる明解なガイドラインがあるだけで、無駄な被害を未然に防げられる部分というのも、あるかもしれませんね。

 

ちなみにマンクットという名前そのものは、この超デラックス破壊力の台風からは想像もつかない、甘〜くジューシーなフルーツ、マンゴスチンのこと

台風のネーミングさえも連想の斜め上。 予想外の巨大台風を生み出す、マジギレ寸前の最近の地球

あぁそういえば遥か彼方の火星でも、こんな嵐が毎日あるんだったなぁと映画「The Martian」を思わぬところで思い出し、現在のグローバル社会から未来のユニバーサル社会へと、台風マンクットから始まるギャラクシーへの壮大な夢

 

そしてどこの惑星に移住しても、港人のこのスピリットはきっと永遠かなとも思うのです

We love to take care of our money.

 

JUN

 

香港STYLE Vol.37 中秋節の気配 (2018.09.15)

香港からこんにちは

 

今年もいよいよやって参りました

縁起モノ、限定モノ、食べモノという、香港人が人生でこよなく愛するカテゴリーを全てクリアした、あの名物お菓子の季節が

 

中華圏の伝統的な祭事、中秋節 (Mid-Autumn Festival) の象徴、

月餅 (ユッベン)

 

ちょっと大きめのお饅頭のような月餅は、中秋節が近づくと、親戚友人知人の間で贈り合う、中華圏の伝統的な季節の贈呈品です。 

 

月餅をご紹介する前に、ほな中秋節とはなんぞや?を、ちょっとだけ

日本では「お月見」として知られていますが、中国には実はちょっと違ったお話があるんです。

ある所に、嫦娥 (じょうが) という美しく聡明な女性が、夫と幸せに暮らしていました。 ある日嫦娥は、夫から不老不死の薬を預けられます。その薬を飲んだ者は、仙人になり天に昇ることができるというのです。

嫦娥はそれを大切に閉まっていましたが、ある日泥棒が押し入り、その薬を盗られないようにと、とっさに自ら薬を飲んでしまい、天に昇っていきました。 そしてそれが、旧暦の8月15日、15夜の満月だったというのです

 

嫦娥を失った夫は嘆き悲しみ、毎年15夜の満月に嫦娥の好きだったロータス(蓮)や卵や果物などをお供えし、彼女を偲んだと言われています。

また、15夜の月に見えるウサギは中国では、嫦娥が飼っていたもので、嫦娥と一緒に天に昇り、不老不死の薬を臼で突いているのだそうです。

という、日本のお月見とはちょっぴり違う中秋節の背景。 

伝統や文化が中国から日本へ伝わる過程で、自然と話が変わっていったのか、それとも日本人が、自然を愛で楽しむことにフォーカスする平和なストーリーを好み、伝達の過程で故意に変わったのか、真意のほどは分かりませんが、中国にはこういった切なくロマンチックな神話が結構あったりします。 

 

とまぁ、中秋節のウンチク話はこの辺でお終いにして、この、ものすごく気になる月餅の中身、いったい何だと思います? そしてお味は?

 

今でこそ、こし餡、栗餡、ドリアン風味、ナッツとドライフルーツなどの西洋風味付けの月餅も出回り、極め付けは月餅アイスなるものも。 何でもありなようですが、最も伝統的な月餅の中身は、こちら。

ロータスとナッツのペースト、それに、鴨の塩漬け卵黄

どうですこの、明石家さんまと今田耕司がウーマン村本とムンバイでインドカレーを食べに行ったら的、唐突かつ皆目検討つかない感な組み合わせは。。。

 

肝心のお味は、、、

あまり深く追求せずに、一口だけ激甘塩の濃ゆいマリアージュを楽しみましょう、といったところでしょうか

 

実はこの月餅、香港人でも好き嫌いははっきり別れ、好きな人でも、この塩付け卵黄部分が好みという人と、ロータスペーストのみの部分が好みという二手に分かれます。 

 

とはいえ年一回、中秋節のこの季節にしかお目見えしない月餅は、実際のお味、好き嫌い、カロリー過多などどうであれ、それらを完全に超越した、中秋節の祝日に食べる古くから伝わる香港人のソウルフードなのです

現在は味もサイズもバラエティが増え、一口サイズの小さな月餅も多く出回っていますが、伝統的なものは直径約15cmの円形で、厚みも5cmほどとかなり大きいお饅頭サイズ。 家族や友人と取り分けて食べます。

 

満月を月餅の丸い形に例え、明るく丸い月は一族の繁栄と円満を意味するものだそう。

 

現在、中秋節で月餅を送り合う習慣は、中華圏の人々の面子を重んじる気質とも相まって、伝統から次第に社会現象に変化しているとも言われています。 

それでも、月餅を見るたびに中秋節のストーリーを思う時、透き通る秋の夜空にふと嫦娥の美しい気配を見るような気がするのです

 

JUN

香港STYLE Vol.36 露店街にて、思うツボ (2018.09.08)

香港からこんにちは

 

東洋と西洋、新と旧、ハイとローが心地よくも混沌と混ざり合う香港。

モードな最新コレクションを纏うお洒落ピーポー。 スポーティ&クラッシックなヨーロッパリゾート風佇まいのマダム達。 TシャツビーサンにイッテQイモトのノリで香港経済を裏で支える、パワフルなアマさん達。 歩道に敷いたハンカチの上に時計やCDを並べて売る (売れんのか?!) 謎の商売人。。。 

そんな多彩で魅力的な人々が行き交う香港は、まさにカオスの宝庫です。

中でも香港らしいカオス、それは下町の露店街。

広東語で、路邊攤檔 (ロウビンタンドン)。 

 

 

香港島中心部の中環 (セントラル) や灣仔 (ワンチャイ) にも、高層ビルの隙間を縫うように小規模な露店街はいくつかありますが、規模、ローカル色ともに濃くてエキサイティングなのは、断絶九龍サイドの露店街。 

固定式、移動式、合法、非合法と、様々な露店が存在します。 ノーライセンス (非合法) 露店においては、警察はちゃーんと分かっているようですが見えなかったことに、、、というこれもきっと香港スタイル

 

九龍サイドの露店街でガイドブックにも載っているほど有名なのは、旺角 (モンコック) の「女人街」ですが、最近の旺角は開発と観光地化の波で、なんだか妙にスマート 

以前のような混沌とした香港らしさ、雑多な下町らしさがなくなってきているのは少々否めません。 

そこで目指すのはっ 

 

深水埗 (サムソイポー) へ GO!

 

九龍サイドにある、香港で1、2位を争う下町ローカル色の濃い、問屋街、露店街です。

雰囲気はちょうど、御徒町と谷根千と巣鴨と秋葉原を足して6で割って、大阪ミナミと千林商店街のスパイスを加え、そこにブラマヨの2人が歩いてるかんじ   (余計分からんわ)

50年以上前から、外も中もきっと何も変わっていない建物、お店、住む人達の顔ぶれ。

そんな香港ローカルの日常が垣間見える深水埗は「ザ香港の下町」を堪能することができる、宝探しのようなエリアなのです

 

MTR (香港の地下鉄) 深水埗駅を出ると、

「香港の秋葉原」と言われる電気街、鴨寮街 (ンガプリウガイ) があるだけあって、デジモノ好きそうなお兄ちゃん率の高さに一瞬怯みそうになりますが、直ぐ目の前に広がるのは、洗濯物がひらひらとはためくレトロな唐楼 (トンラウ) と、その一階部分に入る問屋や商店、さらにその前に陣取ってぎっしりと並ぶ露店の数々。

そう、この時点で、1本の道路が2倍、どうかすると3倍活用されているということに気がつき、商売チャ〜ンスとあらば世界中どこへでも行く香港人魂の原点を、ここに見たような気がするのです。

 

露店街に足を踏み入れると、安いだけではありません。 統一性は皆無ですが、そこには想像を超える独特の世界が広がります。

中古鍋、ライター、タオル、変換プラグ、スマートフォンケース、文房具、髪飾り、子供服、スーツケース、サンダル、電池、靴下、CD、リモコン、ライト、ヘアアイロン、スマートフォンSIMカード、コンピュータの充電コード、コンピュータチップ。。。などなど。

露店街と侮るなかれ、実はそれぞれの露店はひたすら「だけ」を売る、スペシャリストの世界だったのです

 

ひたすらスマホケースだけ。

 

 

ひたすらサンダルだけ。

 

ひたすら腕時計だけ。

 

ひたすら子供服だけ。

 

ひたすら、、、   ん??? これは何を売る店ぞ?どう見てもオフィス引っ越しの粗大ゴミからかき集めてきたのではないかと思うような、コードの数々。。。

 

ここは引きこもりゲーマーお兄ちゃんの部屋ではありません。これを店舗と呼んでいいのか分かりませんが、左端の猫背の彼、一応商売してます。 これ全部売ってます

 

下のこの方達、ヨレヨレのTシャツ着て、一日中ここでゲームして遊んでるのではありません。

スクラップのアルミ板とコードとチップでコンピュータをゼロから一台組み立ててしまうほど、すんごい知識と技術のコンピュータスペシャリストおじちゃん達なのです 

人は見かけによりませぬ

 

そしてこのお方、今まさにコンピュータを組み立てているところ。

視線を感じてチラリと後ろを振り返るも、私が客でないと察知するや、なんでぇと無言で組み立てに戻る職人気質のおじちゃん。 惚れるぜ!

こんな露店もある、深水埗

 

極め付けはこれ、、、

椅子カバー
オフィスチェアに最適
こんなお洒落なカバーに変えるだけで
古い椅子がたちまち新しい椅子に
他にもいろいろなスタイルあります

露店脇にポンとゴミのように置かれていたこの椅子。 周りを見回しても商売主は見当たらず、近付いてよく見ると、布を乗せて椅子の後ろ側をピンで止めてあるだけ。  で、椅子カバーとさ

 

売れるかどうか、そもそもこの人 (どの人?) 商売する気あるのか、これを露店と呼んでいいのか不明だらけですが、売り込みを一切せず興味をそそらせるこのメチャクチャなマーケティング戦略。 

もしかしたら、これぞ香港スタイルなのかもしれないゾと思った、戦略にまんまとハマった深水埗の昼下がりでした

JUN

 

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