香港STYLE Vol.16 香港が紡ぐ音色 (2018.04.21)

香港からこんにちは
世界中のおもちゃ箱をひっくり返したような街、香港。 何でもアリで何でもあるこの街は、例えば、乗り物ひとつを見ても何でもあります。
タクシー、ミニバス、2階建バス、トラム (路面電車)、ピークトラム、MTR (地下鉄)、マカオや離島への大型フェリー、そしてスターフェリー。
この狭い香港によくこれだけのものが、、、と思いますが、どこかの夢の国、遊園地のアトラクションのようですね
その中で、香港市民に愛されるこの街のシンボル的存在が、
スターフェリー
廣東語で、天星小輪 (ティンシンシウロン)。
1888年に、当時英国領だった香港島と中国大陸側の九龍を結ぶ、船の交通手段として登場したこのスターフェリー。
香港の摩天楼、空、山、海のコントラストと、昼夜問わずヴィクトリア湾の絶景大パノラマを楽しめることから、観光客にも大人気ですが、長年香港市民の足としても愛されています。
湾を行き交う大小の船を眺めながらの約8分間のショートクルージングは、波の音とフェリーのエンジン音だけが心地よく耳に響く、ゆったりとした時間。
ハイスピードで忙しい香港で、街の喧騒からホッとできる貴重な時間でもあります。
香港島セントラルのフェリーピア (Star Ferry Pier, Central)。

ちょっぴりノスタルジックな時計台が素敵ですね

 

スターフェリーの船体は2層に分かれていて、1階席 (Lower Deck。二等席) と2階席 (Upper Deck。一等席) に分かれています。

 

2階席は、船の中心部分がオープンデッキ、両端先端部がエアコン付きのインドアデッキとなっています。

どこに座るかは自由。 オープデッキで波のリズムを感じながら海風に吹かれるのもいいですし、暑い日はここで一息、エアコン席を選んで景色を見ながら涼むのもいいかも

 

出航の証を告げる笛の音が鳴ると、エンジンが動力いっぱいまでパワフルに動き始めます。

それまで静かに佇んでいたフェリーの周りの翡翠色の海水が急に白っぽく淡い色になり細かい泡を立て始めます。  きっと水中では、スクリューエンジンのプロペラが全開に回っているのでしょう。

そんな色を見ながら音を感じ、クルージングがスタート

 

これはフェリーを埠頭に泊めておいた2本の大縄を、セーラー服の水兵さんが外すところ。星のマークが施されたネイビーブルーのセーラー服も、スターフェリー登場の1888年当時からほぼ変わらずこのデザインだそうです。

絶妙なタイミングで埠頭側から船体側に渡すのですが、息のぴったり合った作業はまさに名人技

 

太陽に照らされキラキラと輝くヴィクトリア湾の水面を、スターフェリーはゆっくりと少しずつ向きを変え、埠頭を後にします。

これは船内の2階席 (一等席)。

全ての座席にはスターフェリーのシンボル、スター (星) が施され、シンプルで温かみのあるアンティークなデザインが、とても素敵です

座席の背もたれは向きを変えられ、対面で座ることもできます。 1888年当時としては、革新的デザインであったはず。 当時のイギリスは産業革命の力を存分に発揮して、長く使えるいいものをたくさん作っていたのですね。

 

の〜んびりゆったり。 波の穏やかな揺れのリズムに身を任せ、ぼーっと水面を眺めるスターフェリーの時間はきっと、どんな人にも至福の時。

全てがハイスピードの香港の喧騒から一瞬だけ離れ、そしてまた喧騒に戻っていく、その間のひと時です。

 

スターフェリーは、誰もが懐かしい気持ちになる、そんな不思議な魅力を持っているような気がします。

 

約8分のショートクルージングも間もなく終わり。 対岸のフェリーピアに近付くと、エンジンの逆回転の音がし始めます。

太く編み込まれた縄が、また絶妙なタイミングで埠頭側に投げ渡され、2本の縄でつながれる船体と埠頭。  

これ以上に無いほどにピーンと張り詰められた縄が、その力と存在感をいっぱいに醸し出し埠頭と繋がれるのを見る時、フェリーが無事にひと仕事終えて停止したことを実感します。

 

エネルギッシュでパワフルでエキサイティングな街、香港。 おもちゃ箱をひっくり返したような街、香港。 そして、誰もが本気で貪欲に生きる街、香港。

そんなダイナミックで強い街だからこそ、目で見る、音で聴く、肌で感じる優しさとか懐かしさ。。。 そんな、ちょっとだけ心のネジを緩められる時間も、きっと最高の贅沢になるのですね。

 

スターフェリー

香港を訪れたらぜひ、摩天楼を遠くに見ながら波の音色に耳を澄ませてみてはいかがでしょうか

JUN

Pocket