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香港STYLE Vol.12 香港大學 (2018.03.24)

春。 日本では卒業と入学の季節ですね

故郷を離れ、新しい土地で大学生活を始める方もいらっしゃるでしょう。 感謝と出発、新緑と桜、花粉とアレグラ。。。  大学生活が有意義なものになりますように

香港の学校や大学は、欧米と同じ9月が新年度スタートですので3月はまだ学年の半ば。  ですがさてこちら、何でしょうか?

香港の最高学府、香港大學 (ホンコンタイホッ) の校章です。

 

The University of Hong Kong

 

1887年創立の香港で最古の大学で、通称 HKU。 世界大学ランキング The Times Higher Education で毎年アジア圏で首位をキープし、特に医学、理工学、法学分野は世界的に高い評価を得ています。

 

香港大學には現在、58ヶ国からの常勤教員と、106ヶ国あまりの学生が在籍し、大変国際色が豊か。

この世界大学ランキングですが、毎年発表されるもので「国際競争力ランキング」と置き換えてもいいかもしれません。

ランキングの重要な指標の中に「国際性」と「論文の引用」がありますが、アジア圏で他の大学がこれに苦戦する中、香港の大学はここでも評価が高く多くのポイントを稼ぎます。

 

学部の講義、セミナー、ワークショップ等は全て英語。 英語で会議をし、議論をし、論文を書き、そしてその論文はすぐにグローバルネットワークに乗る。 そして時間差なく世界中の専門機関の目に入る。

その数が多ければ多いほど、すなわち、分母が大きければ大きいほど国際競争力は強くなるわけですね。

 

また近年、中国大陸トップクラスの学生達が、かつて進学していた北京大学や欧米の大学を蹴って、香港大學を選んでいるのも興味深いところです。

香港大學は香港市民の税金によって運営されているため、中国大陸からの学生数は制限されています。 全10学部で合計300人ほどしか取らない中国大陸学生枠に、毎年20,000人を超える応募が来るそうです。

猛烈な競争を勝ち抜いて入って来る学生達の中には、中国共通大学入試で各省最高得点を修めた者に与えられる「狀元」(ジョンユン) のタイトルを持つ、秀才中の秀才達もいます

 

このような優秀な学生が集まることによって、結果として世界中から優秀な教員と学生を香港に惹きつけ、大学のアカデミックレベルがさらに上がり、ますます人材が集まり経済も発展する、という好循環を生み出しているのです。

 

英国統治下時代、イギリス植民地政府は香港の安定した社会を築く為に頭脳流出を防ぐことが不可欠とした政策を実施し、優秀な人材の確保に成功。 その結果、競争力の高いグローバル都市香港の地位が出来上がったと言っても過言ではないでしょう。

 

香港島中心部 Mid-Levels West と呼ばれる山の中腹、半山區 (ブンサンコュ) から 薄扶林 (ボッフーラム) にかけて、メインキャンパスを有する香港大學。

ヴィクトリア湾から西の海に向かって大きく開けた高台に位置し、そこから見るシティビューは壮観。 前に海、後ろに山という地形の変化にも富み、風水の視点からも香港大學は最高の立地と言われています。

 

またキャンパスは、これが香港市民の税金で運営されている公立の大学かと思うほど、立派な建物と近代的で多数の設備を有しています。 その多くが、香港の富豪や資産家らの寄付によって建てられたもの。

 

香港最大の企業グループ、長江實業集團の会長引退を先日発表したばかりの大富豪、李嘉誠 (Li Ka-Shing) は、香港大學の医学部「香港大學李嘉誠醫學院」や理学部に、自身や亡き夫人 莊月明 (Chong Yuet Ming) の名前を冠した建物などを多数寄付。

 

香港のメディア王、邵逸夫 (Run Run Shaw) は、文学部に数百もの研究室や講義室、自習室を有するRun Run Shawタワーを。

また、香港マカオの実業家、何鴻燊 (Stanley Ho) は、Stanley Hoスポーツスタジアムや屋内スポーツ施設、学生寮など、香港大學の多くの施設が資産家の寄贈によるもの。 キャンパス内はまさに、香港の名士録そのものなのです。

 

香港には「金は天下の周りもの」、そしてそれが自分に回ってきたら社会に返すという社会貢献の意識が、市民の中に脈々と受け継がれています。

このようなところにも、香港華人社会がなぜ発展し続けるのか、なぜ国際競争力、影響力が強いのかといった理由がうっすら見えてくるような気がします。

 

香港大學のキャンパスには、聡明で堅実で賢く、ひたむきに勉学へ打ち込み、真剣に将来をフォーカスする彼ら学生の本来あるべき姿があります。

 

これは香港大學の学生だけでなく、香港人の若者の多くに共通していると常々感じていることですが「国際人」になることに関しては筋金入りの彼らの鋭い視点と上昇思考、そしてこの街の「華やかでいて堅実」という大人社会のあり方は、これからも間違いなく香港を発展させ続けるでしょう。

 

そんなことを、キャンパスの中を歩きながらふと思ったりした3月の夕暮れでした

 

 

JUN

香港STYLE Vol.11 香港人と廣東話 ⓶ (2018.03.17)

香港人と日々接する中でよく感心させられるのが、彼らの会話と語学のセンスです。

もともと外向的で好奇心旺盛、そしてお喋り好きな民族性を持つ彼ら。 香港人が2人と寄れば話題は尽きることなく、あっちでもこっちでもお祭りのような賑やかさになります。

 

彼らのコミュニケーションの基本はずばり、単刀直入。 要点以外の社交辞令や勿体ぶった遠回しの表現などは、時間の無駄。  いったい何が言いたいのか分からん頭の悪いヤツだとばかりに、イラッとサラッとすっ飛ばしてすぐに本題に入ります

たった2分の会話でも話はどんどん進み、生きた情報がどんどん動く香港人のコミュニケーションスタイル。 それは、高速道路反対車線の大渋滞を横目にスイスイ運転する時のようなあの爽快感と、通勤快速電車で他駅を通過する時のあのお得感を一緒に味わっているようなかんじ

 

マルチタスクの実社会で、あらゆる問題発生時にすこぶる強い免疫力と要領の良さを発揮する、頼もしい香港人。

たとえ無人島に流されても、家を建て街を作り、きっと最後は経済発展までさせてしまうそんな強い生命力が、香港人にはあるような気がします

 

極めて現実的で合理的な彼らの発想とセンスは、母語「廣東話」にもいかんなく発揮されています。

 

語学センスとは言っても、いわゆるええ格好しいを嫌う香港人。

英国による統治が長かった香港では、昔から多くの英単語が香港人の生活に浸透していました。 それらはアルファベット表記だけでなく、もちろん漢字でも訳されていたわけです。 言葉の「音」を漢字に当てたものと「意味」を当てたもの、2種類に分けられて。

 

な〜んて言ってもやっぱり、そんな小難しくて堅苦しいこと、当の香港人がいちいち考えて生活しているわけがありません

音か意味かなんて、その辺の線引きは結構適当なようですし、たまたま暇だった肉屋のおじちゃんがひらめきで言ってみた ⇒ アイヤ〜そのまま広まっちゃった ⇒ OKラ〜 、、、的なことがいかにもありそうな街、それが香港

2200年の歴史を誇る廣東話がそんな適当さでいいんでしょうかとも思いますが 、そういうことに執着しないのが香港人の良さであり、香港スタイル

 

それではいってみましょう、オモシロ廣東話

音を当てた廣東話

① 三文 (サァンマン) : サーモン

→ お魚です。 文字はアカデミックな見た目ですが、お勉強とは何ら関係ありません。 2秒で決断したに違いない、たまたま思いついた字を当てました感満載の適当さ。

 

② 的士 (ティキシ) : タクシー
③ 巴士 (バーシ) : バス

→ 誰でも読める & 誰でも書ける分かりやすさ。 考えた人、グッジョブ

 

④ 多啦A夢 (ドラエィモン) : ドラえもん

→ アルファベットを混ぜてまで「ドラえもん」の音を忠実に表現したかったのでしょう。 香港人も、とっても大好きドラえもん

 

⑤ 波士 (ボシ) : ボス (上司)

→ 波止場で働くおじちゃんのことではありません

 

⑥ 卡樂B (カロビィ) : カルビー

→ 言わずと知れたカッパえびせん、ポテトチップスの日本のスナックメーカー、カルビー。

 

意味を当てた廣東話

① 電腦 (ディンロウ) : コンピュータ

→ 電気の脳みそ=コンピュータ  まぁ確かに。

 

② 熱線 (イェッシン) : ホットライン

→ 思わず火傷しそうな字ですが、熱くありません。 企業などによくある顧客向け直通電話サービスのこと。 ホントそのまんまです。

 

③ 手袋 (サウドイ) : ハンドバッグ

→ 手=ハンドバッグ。 なるほど、そうきたか。 ちなみに日本語が意味する手袋は 手套 (サウトウ) 。

 

④ 牛津 (ンガウチョン) : オックスフォード

→ 英国最古の大学がある街 Oxford も、漢字にするとちょっと茨城風?(←それ牛久)  オックス=Ox (雄牛)、フォード=Ford (川や浅瀬など水に関係する場所=津)。ちなみにケンブリッジ Cambridge は 劍橋 (ギムキウ)

 

⑤ 細菌人 (サイクワァンヤン) : バイキンマン

→ どれだけ不潔な人と思ったら、国民的ヒーロー、アンパンマンの永遠のライバルのことではありませんか。  ちなみにアンパンマンは 麵包超人 (ミンバオツィウヤン)、ドキンちゃんは 小病毒 (シィウベンドッ)、しょくパンマンは 吐司麵包超人 (トイシィミンバオツィウヤン) で、カレーパンマンは 咖喱超人 (ガーレイツィウヤン) です。 って、知ってても全然役に立ちません

 

⑥ 雌激素 (ツィゲッソウ) : 女性ホルモン

→ 日本語読みで、めすげきそかなりのインパクトですが、結構本質突いてます。 男性の皆様、女性が突然拗ねても許してあげてね。 だってそれは激素の仕業ですから

 

⑦ 老婆 (ローポー) : 妻

→ なんて失礼なっなどと怒ってはいけません。 まぁ落ち着いて。 香港人男性は恐妻家、、、じゃなくて愛妻家。 でも真面目にこの字。  ちなみに、夫は 老公 (ローゴン)。

 

⑧ 鬼婆 (グァイポー) : 欧米人女性

→ この当て字も最高です。 鬼 (グァイ) は、廣東話でゴースト、幽霊のこと。 薄暗い所で見たら幽霊に見えたのでしょうか  深く考えてはいけません。 ちなみに欧米人男性は 鬼佬 (グァイロウ)。

 

 

とまぁほんの少しでしたが、いかがでしたか?

言い得て妙というか、ここまでいろいろ表現してしまう漢字言語の覚悟と凄み、香港人の発想とセンス。

これはやっぱり彼らの愛すべき立派なアイデンティティだと、私には思えるのです

JUN

 

香港STYLE Vol.10 香港人と廣東話 ⓵ (2018.03.10)

つまるところ、香港の魅力って何?と聞かれたら、きっと私は「香港人」と答えるでしょう。

 

超高層ビル工事現場の竹の足場を作るのも、日本の2.5倍速はあるハイスピードエスカレーターをさらに駆け上るのも、テレサテン日本語版を大音量でかけながら、歌姫の魅力を熱く語るタクシードライバー (ちゃんと前見てね) も、みーんな香港人。

 

1日32時間生きてますオーラを振りまいて、街を闊歩する香港人

この街の住人「香港人」と、彼らのアイデンティティである「広東語」にかかると、何気ない日々が魔法のようにカラフルに彩られていきます。

 

香港のローカル言語、広東語。

「廣東話 」(グォンドンワ。英: Cantonese) 。

廣東話は、約2200年前から話されている、中国で最も古い言語です。

現在中国の公用語である「普通話」 (プートンホワ。英: Mandarin。北京語が標準音) の歴史は約400年。 廣東話の長〜い歴史は、この伝統言語が中国の戦国史をくぐり抜け、逞しく生き残ってきたことを物語っています。

 

廣東話は、香港、マカオをはじめ、中国南部の広東省、広西チワン族自治区を中心に話されている言語で、香港のイントネーションが標準です。

中国全土から見ると廣東話をネイティブとする地域はとても小さいのですが、世界中のチャイナタウン、華僑、華人社会の主流言語は、ほぼ100%廣東話。  華僑ビジネスを成功に導き世界中に根を張る華人ネットワークの要は、彼らのアイデンティティ「廣東話」なのですね。

 

中国の公用語が普通話である現在、廣東話は「方言」になるわけですが、中国の場合国土が広く、私達の想像する方言とは随分異なります。

口語コミュニケーションでの普通話と廣東話、それはもうほとんど外国語と言ってもいいほどの違い。

普通話は音が4声しかないのに対し、廣東話は9声 (細かく分けて12〜13声と言う学者もいます)。

さらに約110種類もの長短、高低、重軽、そして廣東話特有の「入声音」 ( k、t、p で終わる独特の〆音 ) など微妙な音の違いが多数あり、これが他の言語にはない廣東話の魅力的な音になっています。

また、日本語は形容詞が多いのに対し、廣東話は、動作を表す動詞が多いのも特徴です。 この辺も、それぞれの民族性と関係があるのかもしれませんね。

 

とはいっても、こ〜んな小難しくて堅苦しいこと、当の香港人が考えながら話しているわけがありません

廣東話は基本が「しゃべり言葉」です。 表現キャパシティが広く、語彙も豊か。 とにかく大きな声でどんどん話す、これにつきます。

語気が強く、発音、声調、声量、そして発声のスピードがキーポイントの廣東話。

香港に住み、この土地の人や文化や習慣にどっぷり浸かりながら慣れていくこと、それが習得のポイントです。

 

かくいう私も、まだまだ修行の身。 幼少期にこの街で過ごした音の記憶は、細胞レベルではどこかにあるのでしょうけれど、なにせ頭で考えようするから、2つ入っては1つ抜けの繰り返し

しかしそこは国際感覚の洗練された香港人。 相手が言わんとすることへの察しは鋭く、結構な頻度で理解してくれる彼ら。 ありがたや

 

たまに私の発音が違うと1回では通じず、ただそれ以上は絶対に待ってくれない香港人

大きな声で「はぁ〜〜〜〜〜??!!」と肉屋のおじちゃんに露骨なイラッと顔をされることもありますが、そんなことで怯むようでは香港では生きて行けません。

基本裏表はなく、人好きでお喋り好きでハートは温かい彼ら。 意地悪の「はぁ?!」ではなく、本当に聞き取れなかったと思って間違いなし。

よしそれならばと、声量調整のつまみをMAXにし、おじちゃんの「はぁ?!」を大きく上回るボリュームで、はいもう一回。 無事成功

「哦! 我知你講乜喇!」(オ〜! ンゴツィレイゴンマッラー!)

訳: お〜! 何だいそーゆーことかいラー!

と豪快ガハハで返って来ます

おじちゃん、おもしろすぎ

 

関われば関わるほど彼らの温かみに触れ、幸せ貯金を増やしてくれる人達。 それが私にとっての香港人なのです

 

JUN