香港STYLE Vol.73 最高のエレガンス (2019.05.26)

香港からこんにちは

きっとその日は来るだろうなぁ、、、とは思っていましたが、やはり、というか、イギリスのメイ首相が、金曜日に辞任を発表しましたね。

私にとってイギリスは、家族もおり深いつながりのある第二の故郷。 気になるのですわ。。。

 

 

 

 

ダメだ、泣ける。。。

いろいろと思うところはありますが、彼女の真摯な努力の連続、頑固と言われつつも思慮深く任務を全うしようとした政治家としての凛とした姿勢、全方位から押し寄せる波状攻撃を受け止め続けながらも動じなかった驚嘆の強さ、、、それらは、賞賛以上に値すると思います。 お疲れ様でした。

さぁ、これで後任は、ボリス・ジョンソン (Do you need a hair cut?) か、マイケル・ゴーヴ (とっちゃん坊や系) か、ドミニク・ラーブ (マダムのハートくすぐり系) か、ジェレミー・ハント (こちらはムッシューのハートくすぐり系) か。。。

まぁ最後の悪い冗談はさておき、でも冗談でなく、床屋には行こうねボリス

いろんな意味で、このちょっと狡いオッさん面々がチョイスだとしたら、誰が引き継いでも英国に幸せな未来はあるのか。。。 というより、決められるのかい?!  英国議会 

 

 

まぁ心機一転、風の流れが変わることは確かで、今まで膝を抱えて動きの取れなかったイギリスが、これから何かが音を立てて動き出すのは間違いないでしょう。

 

さて、プライベートなことはメディアはほとんど語ってこなかったテレーザ・メイ首相ですが、無類のファッショニスタとしては知られていました。

若い頃からファッション雑誌「VOGUE」を読み、もともと学生時代から大好きだったという、ファッション。  

イギリスとはいえ、、というか、ある意味イギリスだからこそ、「超」が何個も付くほど伝統的で保守的な政治の世界で、「ファッション=装い」ということが、ジェンダーを超えて、礼儀として、政治信念の表現手段として、有効であると気づいていたのでしょう。 

イギリスは、伝統的男性ファッションのお膝元。 ロンドンは高級オフィス街メイフェアに位置する、サヴィルロウ。 そこには、高級紳士服の頂点ともいえる、全てオーダーメイド仕立ての、王室ご用達の紳士服ブティックが軒を連ねます。

それをまた美学を持って美しく着こなす、イギリスの男性たち。

そんな男性議員達と、時に同じ目標を持つ同志として、時に政治思想で野党と真っ向から対峙するとき、大好きなファッションには、自らを鼓舞させるパワーがあること、パブリックフィガーとしてのプレゼンテーションに有効であること、もっと言えば、学生時代から首相になることを夢見ていたテレーザ・メイという優秀な政治家のプロデュース手段の一つともなることを、もしかしたら彼女は、直感で知っていたのかもしれません。

 

彼女のトレードマークは、デザイン性のある大ぶりのネックレスと8センチのハイヒール。

膝丈のタイトスカートに仕立ての良いジャケットの型は、常にベーシックなものばかり。 彼女が好んで着ていた色は大抵、濃紺か保守党カラーでもあるブルーで、ジャケットの型や、ましてはその柄で主張することは、まずありませんでした。

グレーゴールドカラーヘアに思慮深い眼差し。 その首元に大ぶりのネックレスは、それだけで知的に映え、歴史ある英国国会議場で、サヴィルロウ仕立ての紳士服を美しく着こなす保守党男性議員たちの中心に座って、彼らにはないオーラとエレガンスを作り出していました。

 

 

ジェンダーの枠を超えて、洋服というのは、ジュエリーというのは、それを着る人、つける人が持っている要素によって完成するものだと思っています。

大ぶりで華やかなネックレスは、発する言葉の重みが全てという国会で、自信に裏打ちされたオーラと説得力のスパイスにもなる、名脇役だったのです。

時にモダンなシルバー、時に情熱と闘志の入り混じったレッド、時に宇宙を思わせるミッドナイトブルー、時に温かみのあるミントグリーンカラー、、、などの大ぶりネックレス。

彼女の持つ内面と、グレーゴールドの髪とそれらがちょうどいいバランスを作り、多面的で知性的で魅力的な彼女の内面を反映しているかのように、議場の中で映っていたをよく覚えています。

華やかなネックレスたちは、イギリス議会という、おそらく世界で一番伝統を重んじ、世界で一番保守的で、男性優位社会の名残りがここかしこにある政治の世界で、たくましく生き抜くためのお守りだったのかもしれません。

そんな彼女が、辞任表明スピーチに着ていたスーツが赤だったというのはとても印象的でした。

私には、彼女なりの強い思いが込められていたような気が今でもしています。 そしてそれは、彼女のためだけの赤でないのでは、とも。

辞任は残念ではあるけれど、無念ではない。 最後まで信念を持ち、闘い、ベストを尽くした誇り。

そして、首相というフロントラインからは身は引くけれど、これからも自分の信じる道を、英国民と世界と、そして女性のために実行していく、という新たな決意の表明としての赤、メッセージとしての赤、だったようにも思えたのです。

 

女性をきれいに見せてくれる、赤。 でもきれいなだけではない、試練にも立ち向かう勇気と骨太なエレガンスを合わせ持つ色、赤。

 

謙虚で孤高で固有の美意識を貫いた、英国で2番目の女性首相。 でも自分は最後ではないともメッセージを送ったテレーザ・メイ首相に、私は最高のエレガンスを見せてもらったような気がします

 

 

JUN