香港STYLE Vol.77 ラグジュアリーの原点 (2019.06.23)

香港からこんにちは

 

 

 

 

 

『Luxury is the ease of a t-shirt in a very expensive dress』

Karl Lagerfeld

『ラグジュアリーとは、高価なドレスの中のTシャツのような心地よさである』

 

今年2月に85歳で逝去した、ファッション・デザイナーのカール・ラガーフェルド (Karl Lagerfeld) 氏の追悼イベントが、6月20日パリのグラン・パレで行われました。 

 

真の贅沢とは、自分がデザインする高価なドレスそのものではなく、またドレスが高価に見える、見せることでもなく、ドレスの中に存在する、たとえば、真っ白いシンプルなTシャツを着る時のような、洗練と安らぎ。

そして、そのような感性を受け止めることのできる、ドレスを纏う者の自由な心と余裕。 心の在り方だよ、ということです。

 

カール・ラガーフェルド氏はファッションデザイナーでしたから、この場合ドレスで例えていますが、ドレスでなくても、そうだと思うのです。お洒落も仕事も日々の生活も人間関係も、衣食住全て。

本物のラグジュアリーだけが持つ、完成された緊張感と、その中にあるひとさじの安らぎ。

 

今回は、そんなラグジュアリーの中にある幅、についてです。

私達の周りには、ハイエンドなものもあれば、ラフなものもあります。  この小さな国土面積に、本当にいろいろな国籍、バックグラウンドを持つ人達が暮らす香港も同じです。

 

皆それぞれがお気に入りの基準を持ち、お洒落や衣食住に関しても日々の生活の中で選択し、毎日手に取り、それらを使って時間を過ごし自分の人生ができているのですから、心が自然とワクワクするもの、安らぐもの、笑顔が輝いて見えるもの、時間、人に囲まれた人生を送りたいですよね。 

カールは生前よく、外見や身なりを整えることの大切さについて語っていました。

 

 

『A respectable appearance is sufficient to make people more interested in your soul』

『尊敬に値する見た目は、人があなたの中身に興味を持つのに充分な効果がある』

尊敬に値する見た目とは、高価なものや新品を身につけていることでなくてよいのです。 それがその人の姿勢だったり、笑顔だったり、人間関係だったり、家族から受け継いだヴィンテージのペンダントだったり。。。

 

また、彼はこうも言っています。

『Never use the word “cheap”. Today everybody can look chic in inexpensive clothes (the rich buy them too). There is good clothing design on every level today. You can be chicest thing in the world in a T-shirt and jeans ー it’s up to you』

『”安物“ という言葉は使ってはならない。今の時代は誰でも、たとえ安い服を着ていても、シックになれるのだから。 お金持ちだって安い服は買う。 いろいろな値段で良いものが買える時代だ。 ジーンズとTシャツだけでも、世界一シックな人になれる。 全ては、その人次第ということ』

服に着られない、物に持たされない、時間に使われない。 結局は、自分の内面にフォーカスなのですね。

お洒落においても様々な失敗や後悔を繰り返し、その度に学んできた人生の時間が、年齢を重ねるにつれセンスの味わい深さとなる。 そして、もしたとえ一枚のTシャツを着ても、最高にシックに見える。

 

 

 

そんな、いつでも原点に帰れる幅の広さ、覚悟と潔さと大胆さを兼ね備えた、孤高で自由な女性は素敵だなぁと思うのです。

 

こんな華やかなパールのブレスレットをつけているのに、ブレスレットではなく、なぜかその人自身にばかり視線がいく。 

そんな、物と対等な関係が築けるようになった頃、女性は輝きを増していくのでしょう。

JUN