香港STYLE Vol.8 香港の旧正月 ⓷ (2018.02.24)

文化香港スタイル

今年は2月16日に旧正月を迎えた香港。

旧正月の初日は、お店やレストランの多くが営業し、街中が新年お祝いの挨拶「恭喜發財」に包まれます

ヨーロッパの静かなクリスマスとは違い、とても明るく賑やかにお祝いします。

 

そんな香港旧正月の準備を盛り上げるのが、

年宵花市 (リンシウファシ)、香港の旧正月フラワーマーケット

多くの地元の人達で賑わうこの大規模な花市、毎年旧正月の約1週間前から旧正月初日まで、期間限定で開催されます

場所は香港島の繁華街、銅鑼灣 (Causeway Bay) にあるヴィクトリア公園の特設会場。

 

香港には、たくさんの花を飾って旧暦の新年を迎えるという伝統があります。

広東語の「花開富貴 」(ファホイフグァイ) という縁起の良い言葉、「花が開いて富貴になる = 運が開けて地位が高くなり財を得られる」にちなんで伝わる、地元の人達にとって大切な伝統です。

花市では、見事な胡蝶蘭や百合などが旧正月仕様に活けられ、幸運の象徴水仙やカーネーションなど色鮮やかな花々は、香港の旧正月花市ならでは

 

この年宵花市、一般向け季節の花市としての規模と種類の多さは、アジア随一だそうです。

連日、花市はとにかく人、人、人 おめでたいことにはお金を惜しまない、旧正月直前の香港風物詩です。

 

花々に加えてマーケットの一角には、雑貨、お土産物、燒賣 (シウマイ) や豆腐 (ダウフ) などローカルフードの屋台、そして家電製品のたたき売りまで。。。

そう、ここは香港。 ビジネスチャンスとあらば、どんな小さな可能性も見逃さない香港人

花ともお正月ともあまり関係ない便乗ビジネス屋台もあったりして、何でもオッケーのお祭り感は、まさに香港スタイルです

 

伝統としてもエンターテイメントとしても楽しめる、活気のある年宵花市。

香港で新年を迎える準備はこの花市抜きには語れないほど、地元の人達に愛されている伝統行事です。

 

さて、香港旧正月のお飾りに欠かせない花と言えば、紅桃  (ホントウ)。

桃は中国で古くから伝わる、長寿とロマンスのシンボル。 そして紅桃はその発音が、ビジネスで財を成すという意味の広東語 鴻圖  (ホントウ) とよく似ていることから、人や財産の縁をつなぐと考えられています

金融街のオフィスビル、高級ショッピングモール、マンションのエントランスに至るまで、旧正月期間中の香港は、街中に紅桃が飾られます

毎年日付けが変わる旧正月ですので、ほぼ初日に合わせて開花されるよう育てられ出荷される紅桃。 満開の紅桃は、圧倒的な美しさと華やかさです。

 

そしてもう一つ、香港旧正月の装飾で欠かせないのが、中国潮州産の蜜柑 タンジェリン。

広東語で、  (ガッ)。

 

吉祥と富の象徴であるタンジェリンは、中国広東地方の伝統的お正月飾りです。

これも広東語の「」(ガッ) という縁起の良い字と読み方が同じことから、おめでたいお正月飾りに用いられるようになったそうです。

このように、ぎっしり実のなったタンジェリンの鉢植えに、赤い利是 (香港版お年玉) 封を一緒に飾るのが香港スタイル。

タンジェリンの黄金色 = お金、財産
丸い実の形 = 円満
葉の緑色 = 健康
豊富に実るタンジェリン = 富の繁栄
利是封の赤色 = すべての幸運

という意味があるそうです。 めでたさ満開ですね

 

香港ではいろいろな場面でよく縁起を担ぎますが、おめでたいお正月はさらに特別。 これでもかというほど、縁起ものが盛り込まれます。

 

このタンジェリンの鉢植えは旧正月中街あちこちに飾られ、年宵花市でもこのように家庭用の鉢植えとして地元の人達が必ず購入する縁起物です

 

また、建物のエントランスや家の玄関に左右対称に置かれたり紅桃の周りを囲むように飾られ、とても華やかな雰囲気になります。

 

 

会うたびに新しい風を起こす、エネルギッシュな香港人。 そして、古くからの伝統もとても大切にする彼ら。

この心の新陳代謝が、香港人の若々しさや美しさにもつながっているのかもしれません

恭喜發財、大吉大利

 

JUN

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