月別アーカイブ: 2018年10月

香港STYLE Vol.43 ポジティブファッションが世界を変える⓶ タイムレスな赤 (2018.10.27)

香港からこんにちは

 

 

タイムレス。

もしかしたら、この言葉ほど香港の一般的なイメージとは違うものもないかもしれません。 また、この言葉ほどイギリスのイメージを表現するのにぴったりな言葉もないでしょう。

長い年月をかけ歴史や文化、芸術を育んできたイギリス。 数百年前と同じ方法で調理された同じ味付けの食事をし、500年前に建てられた同じ校舎で学ぶ、当時から変わらない理念の学校教育。 数百年間同じ景色も田舎のランドスケープに、彼らの悠久な時間の流れ。

変わることが宿命のような香港。 変わることをよしとし、むしろ変わらないと生きていけない街かもしれません。

どんな小さな隙間でも、ビジネスチャンスを見つけては果敢に飛びつき、利益なしと見込めばあっさり転業。 見通しが悪ければ、新しい道を見つけて進むまで。

次から次へと方向転換をし、その機動力がさらなる変化を呼び込む香港は、その摩擦熱でさえ彼らのパワーであり原動力なのです。

 

 

アジアにありながら相反するものが存在する、混沌と整然の香港で、好んで使われるタイムレスな色、それは赤かもしれません。

 

何につけてもダイナミックなこの街で、赤色の持つエネルギーは、そんじょそこらの甘えを受け入れない強さと潔さをもって好まれます。

 

 

今でも忘れられないのが、高級ショッピングモールですれ違ったご年配女性。

杖をついてゆっくり歩く彼女の足元は、ハイヒールではなく履きやすそうな少しだけ高さのあるシンプルな靴でしたが、お化粧をし髪の毛は綺麗にセットされ、形の整えられた指先の爪に赤いマニキュア。

杖をつく指先でさえ、赤で彩る気概。 足元がおぼつかずとも、指先を赤にする意志。

ただすれ違っただけの彼女の人生は、私には知る由もありませんが、そんなカッコよくもドラマチックに年齢を重ねたいとその時思ったものです。

指には大粒のダイヤモンドリングが輝き、彼女の内面からにじみ出る、意志の強さと赤とダイヤモンドという3者の共演は、お互いに異なものが共存し高め合う、香港という街そのもののようでした。

 

人生の甘辛をポジティブに受け入れ謳歌するのにぴったりな赤。

 

 

ポジティブであり潔く、成熟した人にこそ似合う、タイムレスな色。  

 

人によって街によってタイムレスの意味合いは変わるのかもしれませんが、赤が香港にとって特別な色なのはタイムレスなのかもしれませんね

 

JUN

 

香港STYLE Vol.42 ポジティブファッションが世界を変える⓵ アジアンミューズ (2018.10.20)

香港からこんにちは

 

 

 

「美しい人」と聞いた時、皆様はどのような女性を思い浮かべますか?

スラリと高い身長に、長い手脚と無駄のないプロポーション。 形の整ったアーモンドアイに綺麗なカールの長い睫毛。 バランスの取れた形のいい額に、まっすぐに通った鼻筋。 スッとした顎のラインに、高い頬骨が映える魅力的な横顔。。。などでしょうか

 

生まれながらに、または美容整形などにより、こんな完璧な容姿美を持つ女性もいるでしょう。

特に国全体で美容整形が盛んな社会では、多様な価値観の認識に未熟なことが多く、一方向に向かうワンパターン容姿美や外見的な美しさにばかりにフォーカスがいってしまい、結果としていつまでも人々の幸福度が満たされない、、という場合もあるでしょう。

 

私は、これまでロンドン、東京、香港と住み、ふと気がつけば人生の半分以上の歳月を、日本以外の国々で過ごしてきました。 

元来の、楽天的過ぎるのがたまに傷 (?) の外向的な性格も手伝ってか、その土地その土地で、現地に住む世代も国籍も違う様々な女性達と知り合い、仲良くなってきました。

そんな中、いつも私がその圧倒的な美しさで惹きつけられ、その時々でいろいろな気付きをくれ、人生の指標にいい影響を与えてくれたのは、なぜか必ずといっていいほど香港人の友人マダム達でした。 

 

 

彼女達の「圧倒的な美しさ」とは、先の「完璧な外見の容姿美」でも「ワンパターンの表面美」などでもなく、多種多様で個性的で揺るぎない、知性美、品格美、成熟美でした。

それは、彼女達の生き様から醸し出されるオーラだったのだと、今ではよく分かります。

 

香港人マダム達の、真っ直ぐに人の目を見る、凛とした緊張感。 考えをはっきりと表現する論理的な思考。 堂々とした姿勢の良さと、所作の美しさ。

 

どんなことにも動じず、余裕の微笑みを持てる大人の落ち着きぶり。 物事の本質を見る、鋭い知性と感性。 

家族や親友の為なら、躊躇なく大きな一歩を踏み出す、潔い決断力と温かいハート。 でもちゃーんと、自分にも利が廻り周るよう考えて行動しちゃう、とってもポジティブでお茶目な計算高さ

 

年齢不詳の女神達。

 

それが私が世界中で出会ってきた、香港人マダム達に共通する美しさなのです。

彼女達のボーダレスな姿は、いつ見てもブレがなく美しくタフ。

それでいてあらゆる変化を楽しみ、周りを幸せにし、自らも幸せなり、ぶっつけ本番の人生を生きることほど楽しいことはないと、その美しいオーラで教えてくれる、香港の女神達。

 

「人生も愛する家族もジュエリーも一緒。 本物だからこそ、面白くなくては。」

 

香港人マダム達が世界中で私に見せてくれた、グローバルをも超えたアジアンビューティ。

 

それは、形の美しさを見せるだけ、分別がありすぎるだけ、上品すぎるだけのおとなしい美ではなく、素直な自己表現と美しい自己主張、躊躇のないタフネスを兼ね備えた、香港流エレガンスだったのかもしれません

JUN

 

香港STYLE Vol.41 海に祝福された街 (2018.10.13)

香港からこんにちは

 

翡翠色の南シナ海と迫りくる岩山の間に、華麗に花開いた国際都市、香港。

 

この街はさまざまな時代のうねりをしなやかに乗り越え、世界有数の国際金融貿易都市として輝きを放ち続けていますが、意外にもあまり知られていないのが、香港の自然の豊かさ。

例えば、ヴィクトリアピークのウォーキングコースから香港を見下ろす時、コースを一周する短い時間で2つの全く違った景色を見ることができるように、近代的大都市と豊かな自然という対照的な贅沢が、手の届くところに共存しているのが香港の魅力なのです。

 

ヴィクトリアハーバーに面した、エネルギッシュでドラマチックな大都市。 

 

裏香港の、穏やかで大らかで全てを包み込むような、海と空と太陽の自然。

 

物質的な贅沢を超えたその先にある、ラグジュアリーでサステナブルな香港。 そんなところこそが、本当の香港スタイルだと思うのです。

 

香港には235の島々があり、ビルが建っている部分は実は陸面積全体の3割弱。 残りは自然公園や自然保護地区で、とても自然が豊かです。

 

「東洋の真珠」と称されるこの街にとって、中でも海は特別。 ヴァカンスやレジャー、社交の舞台でもあり、香港繁栄の要となった海運ビジネスの舞台でもある海。 

香港には、海の見える場所は多数ありますが、中でも香港島南西部から見る海は格別です。

特に海岸の高台を走るヴィクトリア・ロード (Victoria Road) や サイバーポート (Cyberport) から見る西の海は、実は香港で私の最もお気に入り。

 

海のすぐ目の前に広がるグリーンのオープンスペースに寝転がって、高い空を見ながら海風を感じ、遠くに響く大型船舶の汽笛の音を聞いているだけで、心がゆったりと穏やかになります。

いい気の流れだけが満ちる、最高に贅沢な空間。

 

パライバトルマリンを思わせる青緑色の海に、どこまでも続く高い空。

 

オープンエアの船上ダイニングも楽しめる、すぐ近く住む住人所有の真っ白なクルーザーが係留していたり、

 

世界全体が一瞬ゴールドに染まる、神々しいほどに美しいサンセットも。

エレガントでダイナミックで心地よく、豊かさに満ちた香港の海は、唯一無二の宝石のような美しさと尊さがあるような気がします。

 

香港は、本当に不思議な街です。

 

世界地図で見ると小さな「点」に過ぎませんが、この街の真価は国土の大小や人口という尺度を遥かに超えた、街や人の成熟度、洗練度、多様性、多面性、未知の可能性などが織りなす密度の濃さであり、それらはダイヤモンドのように永遠に輝き続けるに違いないと、海を見るたびに思うのです

JUN

 

香港STYLE Vol.40 オークションプレビューで出会う香港 (2018.10.06)

香港からこんにちは

 

10月に入り、爽やかな秋の晴天が続く香港

摩天楼の上層階が、時にすっぽり霧に覆われてしまうほどの高い湿度は、これから数ヶ月間はちょっとお休みです

先日の国慶節の祝日にヴィクトリア湾で打ち上げられた花火も、秋の夜空に降り注ぐ宝石の雫のように、煌びやかで幻想的なひとときでした。

 

香港は、歴史的な経緯、地理的な有利性という運を味方に、柔軟性、敏速性などグローバル時代にマッチした類い稀な対応力によって、世界中の人と人、物と物、利益と利益を繋ぐことでビジネスを生み出し、繁栄を遂げてきた街です。

 

そんな富の集まる香港で、長い歴史を持つのが美術品オークション。

これぞまさに、人と人、物と物、そして利益と利益を繋ぐ、イギリス発祥のビジネスです。

世界の美術品競売市場の9割がこの2社で占められていると言われる、世界最高峰の国際競売会社、クリスティーズとサザビーズ。

 

9月28日〜10月4日にかけて、香港クリスティーズであるオークションプレビューが行われました。

11月13日にスイスのジュネーブで行われる「Magnificent Jewels Geneva」のハイライトと、11月27日の香港で行われる「Magnificent Jewels Hong Kong」のプレビューです。

 

オークションシーズンは主に、春と秋。 

クリスティーズやサザビーズで取り扱われる商品は、ジュエリー、時計、絵画、美術品、家具、カーペット、ワイン、楽器や楽譜、住宅不動産などで、小さなオークションは世界各都市で通年行われています。

それぞれの分野のトップエンド、つまり芸術的にも資産的にも価値の高いものを集めた、重要なオークションが開催されるのが、春と秋なのです。

 

それらは必ずロンドン、ジュネーブ、香港、ニューヨークで行われ、毎回各分野で入札希望者達の華麗なる攻防が繰り広げられます。 

時に落札価格が世界最高記録を更新するなど、オークションの舞台裏は絶対的な秘密厳守の世界であり、大変魅力溢れる競売の世界なのです。

 

オークションハウスが、出品者と落札者、それぞれ双方から得る手数料は、落札額の25%ずつ。

そう、あるロットがもし1億円で落札されたら、オークションハウスには、落札額の計50%に当たる5千万円が入る手はずになっているのです。 

また、落札者が実際に支払う金額は、落札額に25%を上積みして、この場合は1億2千5百万円になります。 落札者は落札から1週間以内に、全金額を支払うことになっています。

 

という、オークションの着想や運営手法は、いかにもイギリス的と言えるでしょう。 それでも世界中に社交界、王族、実業家など富が存在し、コレクターが存在する限り、オークションハウスは不滅なのです。

 

また、信用第一のオークションハウス。 いかなる理由であっても、顧客の情報を警察に開示することは一切ないそうです。  重要なオークション会場で、必ず電話担当者がいるのも、入札者の身元を知られないため。

グローバルスタンダードでは、高額な入札品ほど、それを取り巻く入札希望者達の事前情報や詳細は決して外部に漏れませんし、落札後もメディアや公に落札者の名前が明かされる、又は明かすことはまずありません。

浮かれた落札者本人が目立ちたいという成金で、自ら名乗り出れば話は別ですが。。。 去年そういう人いましたね、日本に

 

さて、そんなクリスティーズ香港での「Magnificent Jewels Geneva and Hong Kong」プレビュー。  ジュネーブオークションのハイライト、18.96キャラットのピンクダイヤモンド「The Pink Legacy」も展示されました。

地球内部の高音高圧で圧縮された証の、彩度の強いピンク。 透き通る石を最大限に生かした、美しくバランスの良いカット。 ダイヤモンドならではの、清く、強く、凛とした輝き。 

何時間でも見ていたい、そんな美しさと高潔さと魅惑の輝きを持つピンクダイヤモンド。 今週末からは、ロンドンでのプレビューに行っているはずです。

 

他にも、1912年カルティエ社製のダイヤモンド・ティアラ。

 

アール・デコのエメラルド・カボションカットのブローチ兼ペンダントや、ヴァンクリーフ&アペル社製のダイヤモンドネックレスやブレスレット。

 

カルティエ社製のコロンビア産ドロップ型エメラルドイヤリング。

 

1922年カルティエ社製アール・デコの赤珊瑚とパールとダイヤモンドのブローチなどなど。

 

遥かな時を超えて輝き続けるジュエリー。

クリスティーズで出会った品格のジュエリーは、香港というこの街が辿ってきた奇跡と繁栄とも重なる、珠玉の幸運を持っているような気が、とてもするのです

 

JUN