ラ・グラッサ ボローニャ

齋藤 恵  No.3117 記録日 2006/07/12(水) カテゴリー 海外紀行 URL URL
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ラ・グラッサ ボローニャ (La Grassa Bologna)


「ボローニャ人のようにラザーニャ (Lasagna) を作れる者はイタリアのどこにもいない。」

「ボローニャの料意人と同じくらい料理が上手な者はいるかもしれないが、彼ら以上に上手な者はいない。」

こと食に関しては、その道にかなり強い関心を持っている僕が心から脱帽している国のひとつがイタリアなのですが、そのイタリアにはこんな言葉があるそうです。同様に食の国である中国で言う、「食在広州」(食は広州にあり)みたいなものですね。

ラ・グラッサ (La Grassa) とは、肥満、デブという意味ですが、ボローニャは、ラ・グラッサ ボローニャ (La Grassa Bologna)、つまり「肥満の街 ボローニャ」として古来から名を馳せてきました。つまり、一般的にたいへん食の水準が高いイタリアの中でも、とりわけおいしい地域として有名なのです。

現代の先進諸国では、たいていの人が脱肥満のために真剣な努力をしているのですが、かつて生産力が低く、人々が飢えと疫病に苦しんでいた時代には、「肥満の街」などというのは、今では信じられないことですが、たいへんなほめ言葉だったのでしょう。

そう言えば、中世のフィレンツェの歴史を見ていたら、こんな言葉が出てきました。

「13世紀終わりから14世紀始めにかけて、ポポロ・ミヌート (popolo minuto=中・低階級)と、ポポロ・グラッソ (popolo grasso=上流階級)の格差が目立つようになってきました。13世紀後半の上流階層は、権力を掌握していきますが、14世紀に入ると、中・低階層が金銀細工、彫金などの技工芸職人として力を持ち、政治の分野への参加が増えて民主政治の基盤が広がりました。」

ここで言うところの、ポポロ・グラッソ = つまり、「太った人々」とは、富裕な人々を指すのです。ミヌートは、小さいとか、低いとかの意味でして、細いとか痩せたという意味はないようです。つまり、当時は肥満は富裕の代名詞だったのです。

il popolo grasso = 富裕市民
il popolo minuto = 下層市民

現代では肥満は自己管理不足と評され、健康面を含めてあらゆる意味でよい評価を受けることはないのですが、生産力が低く、食べることに必死だった時代は、肥満は善とは言わないまでも、人もうらやむことであったのでしょう。

かくいうこの僕も、年齢的に見ても放置すれば確実に肥満体になってしまいます。でも多忙な仕事をこなすには、ダイエットなんかしてはおられません。食べないと元気が出ませんので。(僕の場合は・・・)

というわけで、暴飲暴食はむろん避けますが、あとは規則的な運動に頼ることになります。おかげさまで、毎朝40分間のウォーキングも、始めてちょうど5年になりました。今では少々の雨でも傘をさして歩かないと身体が重く感じるようになりました。でも油断をすると、たちまちズボンがきつくなります。要注意です。ですから、よほどのことがなければ毎朝実行しております。おそらく年間に300日以上は歩いていると思います。すみません、余談でした。

ところでボローニャは、人口約37万人で、ボローニャ自治県の県庁所在地であり、エミリア・ロマーニャ州の州都でもあります。

近郊には、生ハム (プロシュート・クルード = Prosciutto crudo) や、パルミジアーノ・レッジアーノ(Parmigiano Reggiano)チーズで有名なパルマ (Parma) がひかえていますので、まさに鬼に金棒といったところです。

上の写真は、左端がプロシュート・クルード(生ハム)で、右の2枚がパルミジアーノ・レッジアーノ・チーズです。

これらについても語り始めるとそれこそキリがなくなるのですが(要するにおいしいのです!)、ここではちょっとだけ生ハムのことをおしゃべりさせていただきます。

パルマ・ハムと言えば、日本ではイタリアの生ハムの代名詞みたいなものですが、実はイタリアにはパルマとは異なる生ハムの名産地がもう1ヶ所あります。それはサン・ダニエーレという地方です。Prosciutto di San Daniele(プロシュート・ディ・サン・ダニエーレ)と言えばわかります。

イタリアへ足繁く通っていた頃、この生ハムを食べる機会があり、僕には、パルマよりも香りも味もおいしく感じられました。

サン・ダニエーレはスロベニアとオーストリアに国境を接する、北部イタリア最東端のフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州 (Friuli-Venezia Giulia) にあります。ちなみにこの州の州都はトリエステ (Trieste) です。そう言えば、冬季はアドリア海から上がってくる濃い霧のために、ヴェネツィアのマルコ・ポーロ空港に着陸できず、トリエステまで運ばれてしまったことがありましたっけ。すみません、また余談でした。

この地域は、アルプスから降りてくる乾いた冷たい風と、アドリア海から吹く湿った暖かな風が出会うために、独特の気象条件ができ、生ハムを熟成させるのにはまことに理想的な環境なのだそうです。

サン・ダニエーレ産は、パルマ産よりも平べったい形状で、より熟成が進んでいるため生っぽさが少なく、しかも塩気がまろやかなのです。生産量としてはパルマよりもはるかに少ないため、入手はそう簡単ではありませんが、私見ですがよりおいしいと思います。

肥満から始めたこのおしゃべりは、やはり肥満の原因の方に話が向いてしまうようです。暴飲暴食さえしなければ、あまりハードなダイエットなどしない方が、精神衛生上好ましいと思っている僕は、やはり体型だけは、ポポロ・グラッソに属するでしょうね。

ボローニャの街は、肥満(ラ・グラッサ)の他に、ラ・ロッソ、ラ・ドッタという形容詞をつけて呼ばれることがあるのだそうです。

ラ・ロッソ (La Rosso = 赤): 政治的に左翼が多い

ラ・ドッタ (La Dotta = 知識人):
ボローニャ大学法学部はヨーロッパ最古の大学であり、ボローニャは大学都市として著名です。現在でもボローニャ大学をはじめ、ボローニャ芸術大学などの高等教育機関に多くの学生が集まり、ボローニャは進取の気風に富む文化的な都市としても知られています。

なにやらイタリア人の複雑さを象徴するようですね。僕はかつてヴェネツィアからフィレンツェに電車で移動した時に、ボローニャを通過しただけで、まだこの街に降り立ったことはないのですが、今回こんなことを書きながら、いつかこの複雑で面白そうな街へ出かけてみようとひそかに決意を固めております。

Viva La Rosso, La Dotta, La Grassa Bologna !

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